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「
困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
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== 男性差別としての論点 == === 困難が共通していても対象者の定義が異なる === 本法の対象者は、困難を抱える「人」一般ではなく、困難を抱える「女性」と定義されている。相談、一時保護、心身の回復、住まいと就労の調整などを組み合わせた支援体制も、この対象者の定義に沿って構成される。法律本文には、同様の困難を抱える男性自身を、女性と同じ対象者として位置付ける一般規定はない。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup> この点を批判する男性解放の会の論考は、性被害、家庭の状況、地域社会との関係性などの困難は男性にも生じるとして、第1条・第2条の対象を性別にかかわらないものに改めるよう求めている。同論考が問題とするのは、困難の内容が類似していても、性別によって本法における独立した支援対象者としての位置付けが異なる点である。<sup>[[#出典4|[4]]]</sup> === 個別の困難と集団を対象とする政策 === 法律は、女性が女性であることにより様々な困難に直面することが多いという認識を立法目的に掲げる。一方、実際の支援では、本人の意思、問題の背景、心身の状態に応じた対応を定めている。このため、女性という集団を対象に支援体制を整備する政策上の考え方と、性別にかかわらず一人ひとりの困難を把握して支援するという考え方の関係が論点となる。男性解放の会の改正要求は、後者を性別を問わない法律の形で実現すべきだという立場である。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup><sup>[[#出典4|[4]]]</sup> 本法の対象に男性を明記していないことと、男性に対する福祉制度が一切存在しないことは同じではない。男性の不利益を検討する際には、本法の制度上の差と、他制度を含めた支援全体の実態を分けて確認する必要がある。生活困窮者自立支援制度や、男性からの相談にも対応するDV相談プラスは、その比較に関係する制度である。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup><sup>[[#出典5|[5]]]</sup><sup>[[#出典6|[6]]]</sup> === 相談できることと、同じ支援が受けられること === 女性支援新法は、相談対応だけでなく、安全の確保、一時保護、心身の回復、施設での生活支援、退所後の援助までを規定している。このため、男女の支援を比較する場合、相談窓口の有無だけでは制度の内容全体を比較したことにはならない。他方、窓口の名称や法律上の対象者だけから、すべての男性が必要な保護を受けられないと断定することもできない。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup><sup>[[#出典5|[5]]]</sup><sup>[[#出典6|[6]]]</sup> 比較に当たって区別される事項としては、相談を受け付ける対象、緊急保護や宿泊場所の確保、心理的・医療的援助、子を伴う場合の対応、住まいと就労の継続的支援などがある。本法はこれらのうち複数を女性への包括的支援として結び付けているが、男性について同等の利用可能性があるかは、別の制度の要件と地域の実施状況も確認しなければならない。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup><sup>[[#出典5|[5]]]</sup><sup>[[#出典6|[6]]]</sup> === 男女平等の理念と違憲論の区別 === 第3条第3号は、人権の擁護と男女平等の実現に資することを基本理念としている。これに対し、男性解放の会の論考は、対象を女性に限定する本法を憲法第14条の平等原則に反するものとして批判し、性別を限定しない法律への改正を求めている。<sup>[[#出典1|[1]]]</sup><sup>[[#出典4|[4]]]</sup> この批判は、当該論考の主張として扱われる。本項で参照する法律本文、行政解説、同論考は、それ自体として裁判所が本法を違憲と判断したことを示す資料ではない。制度の対象に性別差があるという条文上の事実、その差を不当と評価する主張、司法上の違憲判断は区別される。
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