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== 男性の傷つきの過小評価――外見の損傷に対する労災補償 == 男性の苦痛が軽く見積もられる問題は、単なる周囲の態度にとどまらず、かつての労災補償の等級に明示されていた。2010年5月27日の京都地裁判決が扱った当時の制度では、頭部・顔面・頸部の外見に残る傷について、次の性別差があった。「醜状」は法令・認定基準上の用語である。<sup>[[#出典25|[25]]]</sup> {| class="wikitable" ! 改正前の障害区分 !! 男性 !! 女性 |- | 外貌に著しい醜状を残すもの || 第12級。給付基礎日額156日分の一時金 || 第7級。障害がある期間、1年につき給付基礎日額131日分の年金 |- | 外貌に醜状を残すもの || 第14級 || 第12級 |} 男性についても顔面のほとんど全域に及ぶ特に重い瘢痕には第7級を準用する扱いがあったため、あらゆる傷で男女差があったわけではない。問題は、その特例に届かない傷では男性の補償が低く設定されていたことである。<sup>[[#出典25|[25]]]</sup> 裁判で国側は、女性の方が外見への関心が高く、外見の損傷による精神的苦痛や就労上の不利益が大きいなどと主張した。京都地裁は、男性や外見への関心が低い人も大きな精神的苦痛を受け得ることを指摘したうえで、当該の大きな等級差を合理的に説明する根拠は認められないと判断した。該当部分を憲法14条1項に違反するとし、男性原告への処分を取り消した。<sup>[[#出典25|[25]]]</sup> 2011年2月1日の厚生労働省通知では、外貌の損傷を性別によらず、著しいものは第7級、相当程度は第9級、それ以外の該当するものは第12級とする基準が示された。したがって、本例は改正前の差を扱う歴史的事例である。<sup>[[#出典24|[24]]]</sup> 本例を「男性排除」という観点で捉えると、男性が補償制度全体から締め出されたのではなく、同程度の傷に対する手厚い保障や、苦痛を同等に重く扱われる機会から外されていたと整理できる。「男性は外見を気にしないはず」という集団への想定で、傷を負った個人の苦痛を低く評価していないか、という検討につながる。
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