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== 政策の成果として数えられること――SDGsの指標の対象範囲 == 男性の不利益は、施設に入れないことだけでなく、ある政策の改善を測る数字に男性の経験が含まれるかという問題として検討できる。国連統計部が公開するSDGsの指標定義では、目標5に女性・女子を対象とする指標と、男女を含む指標が併存している。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup> {| class="wikitable" ! 指標 !! 定義上の主な対象・測定内容 !! 男性の経験が入るか |- | 5.2.1 || パートナーを持ったことのある15歳以上の女性・女子が、現在または過去の親密なパートナーから過去12か月に受けた身体的・性的・心理的暴力 || この指標の対象ではない |- | 5.2.2 || 15歳以上の女性・女子が、親密なパートナー以外から過去12か月に受けた性暴力 || この指標の対象ではない |- | 5.3.1 || 20~24歳の女性のうち、15歳未満・18歳未満で婚姻または結合関係に入った割合 || 男子の児童婚はこの指標に入らない |- | 5.6.1 || 15~49歳の女性が、性的関係、避妊、性と生殖に関する保健について、自ら情報に基づき決定する割合 || 男性の自己決定はこの指標の対象ではない |- | 5.4.1 || 無償の家事・ケアに費やす時間を性別・年齢・場所別に測定 || 男性を一律に外す定義ではない |- | 5.6.2 || 15歳以上の女性と男性に、性と生殖に関する保健・情報・教育への十分で平等なアクセスを保障する法令を持つ国の数 || 男性を明示的に含む |- | 16.1.3 || 人口のうち過去12か月に身体的・心理的・性的暴力を受けた割合 || 女性限定の定義ではない |- | 16.2.3 || 18~29歳の女性と男性のうち、18歳までに性暴力を経験した割合 || 男性を明示的に含む |} ここで確認できるのは、特定の指標の集計対象からの除外である。男性の被害が増減しても、それだけでは女性限定指標の値は変わらない。そのため、女性限定指標だけを『ジェンダーに関する暴力全体の改善』の評価に代用すると、男性側で起きた変化を把握できない。これは指標の定義から導かれる測定上の限界であり、国連が男性被害の存在を否定しているという事実ではない。 '''指標の対象外であること、調査そのものが行われないこと、支援資格がないことは別々である。''' 男性も含む目標16の指標が存在するため、『SDGsは男性の被害を一切数えない』という一般化は成り立たない。検討すべきなのは、ある機関が女性限定の指標だけを採用していないか、男性も含む指標や独自の補足調査を併用しているか、という実際の評価設計である。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup> === 男子の児童婚――『養う側』になることも保護の課題 === 児童婚は、この測定範囲の問題を具体化する。UNICEFは2019年の発表で、子供のときに結婚した経験のある男性・男児を世界で推計1億1,500万人、そのうち15歳未満で結婚した人を2,300万人とした。これは82か国のデータ等に基づく当時の推計であり、年間の発生件数や2026年現在の人数ではない。同じ発表は女子における児童婚の方が多いことも明示する。<sup>[[#出典41|[41]]]</sup> UNICEFは、早婚した男子が準備のできていない大人の責任や早期の父親役割を負い、家族を扶養する圧力によって教育・仕事の機会が狭まると説明した。また、女子の児童婚に比べ男子に関する研究が少ないと指摘した。<sup>[[#出典41|[41]]]</sup> この事例での視点は、男子を将来の家計負担者として扱うこと自体が、まだ子供でいる権利、学び続ける機会、支援を受ける立場を狭め得るという点にある。女性・女子向けの児童婚指標5.3.1は重要な被害を捉える一方、その数字から男子の児童婚の増減を読み取ることはできない。UNICEF自身が男子の調査を公表していることは、指標の対象外と研究の完全な不存在を区別する具体例でもある。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup><sup>[[#出典41|[41]]]</sup>
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