「男性排除事例の一覧」の版間の差分

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(男性排除の事例と論点を分野別に整理。35件の出典、比較表、関連する既存記事への内部リンクを追加。)
 
(調査済み原稿から16節・39出典を加筆。ジェンダーギャップ指数の採点方法、学会役員構成、女性議会・育成講座・人材バンク・パネル方針、支援制度等。関連項目への内部リンクと表を整備。)
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{{#アイキャッチ要約:男性が施設・支援・選考から外れる事例と、性別による負担や保護の差を整理する。}}
{{#アイキャッチ要約:男性が施設・支援・選考から外れる事例と、性別による負担や保護の差を整理する。}}


'''男性排除事例の一覧'''は、男性が性別を理由に施設・サービス・選考・支援の対象から外れる事例や、男女で異なる義務・保護・給付条件を整理するものである。本項では、明示的な利用資格の制限、女性に限られる専用枠、男性に限られる負担、男女共通の制度の下で生じる結果の差を区別する。「排除」はこれらの論点をまとめるための表現であり、掲載されたすべての制度について違法性や不当性が認定されているという意味ではない。
'''男性排除事例の一覧'''は、男性が性別を理由に施設・サービス・選考・支援の対象から外れる事例や、男女で異なる義務・保護・給付条件を整理するものである。本項では、明示的な利用資格の制限、女性に限られる専用枠、男性に限られる負担、男女共通の制度の下で生じる結果の差を区別する。また、男性の経験が統計や支援の対象として認識されるか、本人の身体や外見への意思が尊重されるかも検討する。「排除」はこれらの論点をまとめるための表現であり、掲載されたすべての制度について違法性や不当性が認定されているという意味ではない。明示的な条件が確認できた事例と、その条件や研究報告から問題を考察する部分を分けて読む必要がある。


== 男性への不利益を検討する視点 ==
== 男性への不利益を検討する視点 ==
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| ケアの担い手としての排除 || 男性が養育者やケアの専門職になる際の資格・支援条件 || 男性本人だけでなく、養育される子供などへの影響も調べる
| ケアの担い手としての排除 || 男性が養育者やケアの専門職になる際の資格・支援条件 || 男性本人だけでなく、養育される子供などへの影響も調べる
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| 支援を受ける当事者としての認識 || 男性が家族を支える役割だけでなく、自分自身も支援を必要とする人として扱われるか || 支援者役割への満足と、本人の悲嘆が見落とされる経験を区別する
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| 統計・成果測定の対象範囲 || 男性の経験が特定の分類や政策指標に含まれるか || 一つの指標の対象外であることと、調査・支援全体からの排除を区別する
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| 議論を担う人の発掘・育成 || 委員候補の名簿、継続講座、講師や登壇者の選定に性別条件があるか || 公開講演の聴講、継続的な討議、助言を受ける機会を区別する
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| 運営上の代表性・是正基準 || 学会役員の構成、選考規則、どちらの性の不在を改善対象にするか || 人数の偏りだけから参加禁止や研究内容の偏りを断定しない
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| 身体・外見への自己決定 || 性別によって髪型や身体への処置を拒む余地が異なるか || 規則上の義務、実施の強制方法、人権救済の判断を分ける
|}
|}
各事例で重視するのは、'''何へのアクセスが、どの条件で制限されるのか'''である。例えば、融資全体を利用できないことと特別利率の条件を満たさないこと、授業に出られることと正規課程へ入学できることは異なる。集団の男女比を改善する制度では、同じ困窮・喪失・ケア負担を持つ個人が性別によって異なる扱いになるか、という視点も用いる。
ジェンダーを論じる場については、さらに、'''誰が参加できるか、誰が運営するか、何を議題にするか、何を改善として数えるか'''を分けて検討する。男性の委員がいるだけでは男性の課題が十分に扱われていることの証明にならず、女性の委員が多いだけでは男性の課題を扱えないことの証明にもならない。以下の学会構成表は人数について、募集要項は参加資格について、ジェンダーギャップ指数は採点基準についての資料であり、別々の種類の根拠として用いる。<sup>[[#出典55|[55]]]</sup><sup>[[#出典56|[56]]]</sup><sup>[[#出典58|[58]]]</sup><sup>[[#出典59|[59]]]</sup><sup>[[#出典60|[60]]]</sup><sup>[[#出典64|[64]]]</sup><sup>[[#出典66|[66]]]</sup><sup>[[#出典69|[69]]]</sup><sup>[[#出典70|[70]]]</sup><sup>[[#出典71|[71]]]</sup>


== 女性専用車両・女性専用席 ==
== 女性専用車両・女性専用席 ==
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相互理解の双方向性は、女性にも別の痛みを与えることでしか確保できないわけではない。男性の苦痛にも聞き取りと支援を用意し、理解する側と理解される側を性別で固定しないことが検討の中心となる。「女性は男性の大変さを知ろうとしない」という女性全体の意識の断定とは区別する必要がある。
相互理解の双方向性は、女性にも別の痛みを与えることでしか確保できないわけではない。男性の苦痛にも聞き取りと支援を用意し、理解する側と理解される側を性別で固定しないことが検討の中心となる。「女性は男性の大変さを知ろうとしない」という女性全体の意識の断定とは区別する必要がある。
== 起業支援で優遇の対象とされること――年齢と性別の組合せ ==
日本政策金融公庫の国民生活事業は、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人のうち、女性、35歳未満の人、55歳以上の人を『新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)』の対象としている。原則として特別利率Aが適用される一方、土地にかかる資金は基準利率となる。事業計画の審査もあり、対象属性に該当すれば必ず融資される制度ではない。<sup>[[#出典36|[36]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 年齢区分 !! 女性 !! 男性 !! 比較の意味
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| 35歳未満 || 女性・年齢の条件に該当 || 年齢条件に該当 || この区分では男女とも対象になり得る
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| 35歳以上55歳未満 || 女性という条件で該当 || この性別・年齢条件には該当しない || 同年代で当該優遇への入口が異なる
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| 55歳以上 || 女性・年齢の条件に該当 || 年齢条件に該当 || この区分では男女とも対象になり得る
|}
中小企業基盤整備機構の2026年2月更新の解説は、女性・若者・シニアの資金調達上の困難を背景として挙げ、特別利率Aを基準利率から0.4ポイント引き下げるものと説明している。ただし、金利の具体的水準や適用条件は変わるため、個別の借入れについて一律の金額差を示すことはできない。<sup>[[#出典37|[37]]]</sup>
この事例の論点は、男性がいつでも一括して排除されるのではなく、'''年齢と性別の組合せによって、支援が必要な起業者として優遇される資格が変わる'''点にある。例えば、他の条件が同じ40歳の男女を比較すると、女性は性別による入口を利用できるが、男性はこの入口を利用できない。本人の所得、担保、離職歴、介護負担などを測る前に、性別が当該優遇の条件になる。35歳から54歳の男性にも資金調達が困難な人は存在し得るため、集団単位の是正策と、個人の困難を拾う仕組みとの関係を検討できる。
これは35~54歳の男性が公庫の融資全体から排除されるという事例ではない。公庫は幅広い創業者を支援する制度も案内しており、技術の新規性などによる別の優遇要件もある。問うべき対象は、融資の可否全体ではなく、'''同じ事業・年齢の比較で、性別だけによって追加的な優遇へ到達できるか'''である。<sup>[[#出典36|[36]]]</sup>
== 子供を養育していない死別男性への税制上の支援――寡婦控除 ==
所得税の寡婦控除は、2020年分以後の制度でも27万円の所得控除として残っている。国税庁の2026年4月1日現在の法令等に基づく案内では、ひとり親に該当しない人のうち、夫と死別後に婚姻していないなどの条件を満たし、合計所得金額が500万円以下の人は、扶養親族がいなくても対象になり得る。夫と離婚した場合には、扶養親族がいることも条件になる。事実婚に当たる一定の相手がいる場合は対象外である。<sup>[[#出典38|[38]]]</sup>
一方、2020年分からのひとり親控除は、婚姻していないことなどに加え、所定の所得条件を満たす生計を一にする子がいる人に対する男女共通の35万円の所得控除である。本人の合計所得金額500万円以下などの要件がある。<sup>[[#出典39|[39]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 比較する状況 !! 女性 !! 男性 !! 性別差の位置
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| 所定の子を養育するひとり親 || 要件を満たせば35万円のひとり親控除 || 要件を満たせば同じ控除 || この控除は男女共通
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| 配偶者と死別後、再婚せず、扶養親族も対象となる子もいない || その他の要件を満たせば27万円の寡婦控除 || 同じ死別状態による寡婦控除はない || 子の養育とは別の死別者向け支援に差が残る
|-
| 離婚後、再婚せず、子以外の扶養親族がいる || その他の要件を満たせば寡婦控除 || 寡婦控除の対象ではない || 扶養する親族の種類と性別の組合せで差が生じる
|}
表の27万円・35万円は、税額そのものの減額や現金給付ではなく、所得から差し引く金額である。実際の税負担への影響は所得や他の控除等で異なる。対象となる子の所得条件にも適用年・施行時期による改正があるため、個々の申告についてはその年の条件を確認する必要がある。<sup>[[#出典38|[38]]]</sup><sup>[[#出典39|[39]]]</sup>
この事例は、男性が養育者として支援を受けられるかだけでなく、'''子供の有無にかかわらず、配偶者を失った生活者として支援の対象にされるか'''という視点を与える。男女共通のひとり親控除があることは、死別者向け税制のすべての性別差が解消されたことを意味しない。男性本人の所得が少なく、同じように単身生活へ移行していても、寡婦控除と同じ性別条件の優遇は受けられない。これは遺族年金の資格とは別の税制上の差であり、両制度を混同せず、重なり合う条件を検討できる。
== 政策の成果として数えられること――SDGsの指標の対象範囲 ==
男性の不利益は、施設に入れないことだけでなく、ある政策の改善を測る数字に男性の経験が含まれるかという問題として検討できる。国連統計部が公開するSDGsの指標定義では、目標5に女性・女子を対象とする指標と、男女を含む指標が併存している。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 指標 !! 定義上の主な対象・測定内容 !! 男性の経験が入るか
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| 5.2.1 || パートナーを持ったことのある15歳以上の女性・女子が、現在または過去の親密なパートナーから過去12か月に受けた身体的・性的・心理的暴力 || この指標の対象ではない
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| 5.2.2 || 15歳以上の女性・女子が、親密なパートナー以外から過去12か月に受けた性暴力 || この指標の対象ではない
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| 5.3.1 || 20~24歳の女性のうち、15歳未満・18歳未満で婚姻または結合関係に入った割合 || 男子の児童婚はこの指標に入らない
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| 5.6.1 || 15~49歳の女性が、性的関係、避妊、性と生殖に関する保健について、自ら情報に基づき決定する割合 || 男性の自己決定はこの指標の対象ではない
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| 5.4.1 || 無償の家事・ケアに費やす時間を性別・年齢・場所別に測定 || 男性を一律に外す定義ではない
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| 5.6.2 || 15歳以上の女性と男性に、性と生殖に関する保健・情報・教育への十分で平等なアクセスを保障する法令を持つ国の数 || 男性を明示的に含む
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| 16.1.3 || 人口のうち過去12か月に身体的・心理的・性的暴力を受けた割合 || 女性限定の定義ではない
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| 16.2.3 || 18~29歳の女性と男性のうち、18歳までに性暴力を経験した割合 || 男性を明示的に含む
|}
ここで確認できるのは、特定の指標の集計対象からの除外である。男性の被害が増減しても、それだけでは女性限定指標の値は変わらない。そのため、女性限定指標だけを『ジェンダーに関する暴力全体の改善』の評価に代用すると、男性側で起きた変化を把握できない。これは指標の定義から導かれる測定上の限界であり、国連が男性被害の存在を否定しているという事実ではない。
'''指標の対象外であること、調査そのものが行われないこと、支援資格がないことは別々である。''' 男性も含む目標16の指標が存在するため、『SDGsは男性の被害を一切数えない』という一般化は成り立たない。検討すべきなのは、ある機関が女性限定の指標だけを採用していないか、男性も含む指標や独自の補足調査を併用しているか、という実際の評価設計である。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup>
=== 男子の児童婚――『養う側』になることも保護の課題 ===
児童婚は、この測定範囲の問題を具体化する。UNICEFは2019年の発表で、子供のときに結婚した経験のある男性・男児を世界で推計1億1,500万人、そのうち15歳未満で結婚した人を2,300万人とした。これは82か国のデータ等に基づく当時の推計であり、年間の発生件数や2026年現在の人数ではない。同じ発表は女子における児童婚の方が多いことも明示する。<sup>[[#出典41|[41]]]</sup>
UNICEFは、早婚した男子が準備のできていない大人の責任や早期の父親役割を負い、家族を扶養する圧力によって教育・仕事の機会が狭まると説明した。また、女子の児童婚に比べ男子に関する研究が少ないと指摘した。<sup>[[#出典41|[41]]]</sup>
この事例での視点は、男子を将来の家計負担者として扱うこと自体が、まだ子供でいる権利、学び続ける機会、支援を受ける立場を狭め得るという点にある。女性・女子向けの児童婚指標5.3.1は重要な被害を捉える一方、その数字から男子の児童婚の増減を読み取ることはできない。UNICEF自身が男子の調査を公表していることは、指標の対象外と研究の完全な不存在を区別する具体例でもある。<sup>[[#出典40|[40]]]</sup><sup>[[#出典41|[41]]]</sup>
== 男性の外見と身体への意思を尊重すること――受刑者の調髪 ==
関連項目:[[刑務所の男女差(日本)]]
大阪弁護士会は2024年3月8日、男性受刑者の髪型を原則として『原型刈り』または『前五分刈り』に限る訓令について、本人の意思に反して強制しないよう改めることを勧告した。同会の説明では、前者は頭髪全体を約0.2センチメートル、後者は約1.6センチメートル程度に刈る方法である。一方、女性受刑者については華美を避け清楚な髪型にするという基準で、一定の選択の余地が認められていた。<sup>[[#出典42|[42]]]</sup>
この申立ての当事者は、戸籍上は男性で、女性としての性自認を持つ人である。当事者の性自認を男性と記述することは適切でない。そのうえで、同会の勧告理由は当事者固有の苦痛だけでなく、男性受刑者全般について女性と同程度の髪型の自由を認めても、規律・秩序や矯正処遇が妨げられるとは認められないと論じている。<sup>[[#出典42|[42]]]</sup>
ここでは、'''男性として分類された人の外見への意思が、保護すべき自尊心として扱われるか'''が論点となる。男性の髪は短く刈っても本人にとって重大ではない、という前提で自由の範囲に差を付けていないかを検討できる。受刑者に制約があることと、その制約が男女で異なる必要があることは別の問いである。
ただし、これは弁護士会の人権救済勧告であり、裁判所の確定判決ではない。同ページに掲載された2024年8月20日の法務省側回答は、法令に基づき適正に実施されているとの認識から特段の対処をしていない、というものである。したがって、勧告が出たことを、その規定が撤廃された事実として扱うことはできない。<sup>[[#出典42|[42]]]</sup>
=== 義務があることと、身体を押さえて実施できることの違い ===
法務省の2026年5月14日の不服審査調査検討会議事要旨には、ひげそりを拒む受刑者の身体を職員が押さえて実施した事例について、2名の委員が付した意見が掲載されている。委員らは、法がひげそりを義務付けていても、身体的な直接強制を明示的に認める規定ではないとし、当該事例には強制の必要性が認め難く、全裸のまま実施した態様にも相当性がないと述べた。<sup>[[#出典43|[43]]]</sup>
検討会全体の結論は『法務省意見相当』であり、2名の意見を検討会全体や裁判所の判断へ置き換えてはならない。また、議事要旨は、全国の刑事施設への注意喚起や実施要領の見直しを含む運用改善の指導文書が発出されたことも記す。<sup>[[#出典43|[43]]]</sup>
この関連事例だけで男女間の運用差を測ることはできないが、髪型の性別差を検討する際には、制限の文言だけでなく、本人が拒否したときの扱い、実施時の身体的負担、羞恥や尊厳への配慮まで確認する必要があることを示す。身体に関する規則の存在と、そのために許される強制の範囲を分けて考える視点である。
== 支える人である前に、喪失を経験した当事者であること――流産・死産などと男性の悲嘆 ==
妊娠・出産に伴う子供の喪失では、男性も子供を失った当事者である。しかし、女性パートナーを支える役割が強調されると、男性自身の悲嘆や支援の必要性が見えにくくなる。ここで問うのは、男性が「支える側」に位置づけられることによって、「支えられる側」として認められにくくなる可能性である。
2020年のシステマティックレビューは、流産、死産、胎児の重篤な異常に伴う妊娠中絶、新生児死亡などを経験した男性に関する46論文を検討した。支える役割を優先して自分の悲嘆を抑える経験、強くあろうとする圧力、医療者からパートナーの付き添いとして扱われる経験などが報告された。一方、支える役割に意味を見いだした男性や、医療者から適切な配慮を受けた男性もいた。<sup>[[#出典44|[44]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 検討する場面 !! 男性の経験が見えにくくなる仕組み !! 記事上の確認点
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| 医療機関での説明・声かけ || 女性への説明だけで完結し、男性自身が何を失い、何を知りたいかが確認されない || 妊娠した本人への医療上の説明と、家族への悲嘆支援を分ける
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| 家庭内での役割 || 相手を支えるため、自分の悲しみを後回しにする || 支えること自体を否定せず、双方が支援を受けられるかを見る
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| 周囲からの承認 || 男性に強さや平静さが期待され、悲嘆が当事者のものとして扱われにくい || 男性全員が同じ感情表現・支援方法を望むと決めつけない
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| 支援の評価 || 支援者として役立ったかだけで評価し、男性自身の回復を問わない || 男性本人への説明、意思確認、継続的な連絡などを検討する
|}
これは、日本の医療機関の何割が男性を排除しているという調査ではない。収録研究は高所得国に限られ、女性パートナーを持つ異性愛男性を主な対象とし、質的研究も多い。研究で報告された経験と、日本での現在の普及率は区別する。また、女性パートナーを主要な支えとした男性も報告されており、「女性は男性の苦しみを理解しようとしない」という一括した説明は、この研究からは導けない。<sup>[[#出典44|[44]]]</sup>
日本のこども家庭庁も、流産・死産等を経験した人への相談先を案内し、働く女性については産後の就業制限や母性健康管理を説明している。妊娠した人の身体的回復に必要な保護と、子供を失った男性への悲嘆支援は、目的が異なる。前者の存在だけを男性排除とするよりも、後者にも説明・相談・休息の機会が届いているかを調べる方が、問題を具体化できる。<sup>[[#出典45|[45]]]</sup>
== 被害が数えられていても、代表的な被害名から外れること――性暴力統計の分類 ==
米国疾病予防管理センター(CDC)は、全国親密なパートナー・性暴力調査(NISVS)について、「rape」と「made to penetrate」を別の概念として測定すると説明している。後者は、本人の同意なしに他者への性的挿入を強いられる被害などを指す。CDCは両者を性暴力に含め、異なる結果をもたらす可能性のある別種の暴力として扱う理由を示している。<sup>[[#出典46|[46]]]</sup>
{| class="wikitable"
! CDCの分類 !! 分類上の着眼点 !! 男性被害を読む際の注意
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| rape || 被害者への望まない挿入、またはその未遂。身体的な力、酩酊・薬物等による同意不能を含む || 男性被害者も含まれるが、すべての非同意の挿入を伴う行為がこの欄に集約されるわけではない
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| made to penetrate || 同意なしに他者へ挿入するよう強いられること、またはその未遂。同じく力や同意不能を含む || 被害者自身が挿入する側でも、同意がなければ被害になり得る
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| contact sexual violence || 上の二つ、性的強要、望まない性的接触を含む上位分類 || 性暴力全体を比較する際には、どの範囲の指標かを確認する
|}
CDCの2024年5月16日付解説は、生涯に他者への挿入を強いられた男性を約14人に1人、rapeの既遂・未遂を経験した男性を38人に1人超と紹介する。これは同ページが紹介する米国の調査推計であり、日本の発生率や2026年の年間被害率ではない。同一人物が複数の被害を経験する可能性があるため、単純に足して被害者総数を計算することもできない。<sup>[[#出典46|[46]]]</sup>
本項の論点は、'''被害そのものを調べていることと、社会で代表的に使われる一つの被害名に含めていることは別である'''、という点にある。男性被害を検討する場合、統計の名称だけを拾うと、一部の経験が比較の枠から落ちる。これはCDCが男性の性被害を一切認めていないという事例ではなく、統計を紹介する側の指標選択によって男性被害が見えにくくなる可能性の検討である。日本の刑法上の罪名・要件とも同一視しない。<sup>[[#出典46|[46]]]</sup>
== 病気になる可能性と、予防費用の補助対象になること――骨粗鬆症検診 ==
骨粗鬆症は女性だけに生じる病気ではない。米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)は、女性に多い一方で高齢男性にも生じること、男性は骨折後に骨粗鬆症の評価や治療を受ける可能性が女性より低いことを説明している。これは米国の医療情報としての説明であり、日本の男女別受診率そのものではない。<sup>[[#出典48|[48]]]</sup>
協会けんぽは2026年度に骨粗鬆症検診を追加したが、被保険者向けの補助対象を、一般健診・節目健診を受ける40~74歳の偶数年齢の女性としている。男性被保険者は、この性別条件を満たさない。一方、男女を対象とする自治体の検診もある。<sup>[[#出典47|[47]]]</sup><sup>[[#出典49|[49]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 制度・実施主体 !! 確認した対象 !! 男性の扱い・自己負担等
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| 協会けんぽ・被保険者向け骨粗鬆症検診(2026年度) || 一般健診・節目健診を受診する40~74歳の偶数年齢の女性 || 男性は当該補助の対象外。対象者の自己負担は最高1,390円。単独受診はできない
|-
| 茨木市・骨粗しょう症検診(2026年度) || 18歳以上の市民。妊娠中は対象外 || 男性も対象。問診・腕のX線による骨塩量測定。1,000円、70歳以上や一定の低所得者等には免除条件がある
|}
出典:<sup>[[#出典47|[47]]]</sup><sup>[[#出典49|[49]]]</sup>。医療保険者の制度と自治体の制度では、対象集団や検査内容などが異なるため、費用だけをそのまま比較するものではない。
男性への不利益として確認できるのは、'''当該の予防検診補助を性別条件により利用できないこと'''である。「男性は骨粗鬆症の検査や治療を受けられない」「日本の自治体はすべて男性を除外している」という意味ではない。<sup>[[#出典47|[47]]]</sup><sup>[[#出典49|[49]]]</sup>
対象条件の妥当性を検討する際には、発症リスクの男女差と、集団検診によって得られる利益・不利益の証拠も必要になる。NIAMSの2023年の解説は、男性の定期的なDXA検査を勧告するには証拠が十分でないという米国予防医療専門委員会の評価も紹介している。したがって、対象に男女差があることだけで医学的な不合理を確定することはできない。<sup>[[#出典48|[48]]]</sup>
独自の検討視点は、「女性に多い病気」として設計された予防制度の中で、'''少数側の患者となり得る男性が、年齢・骨折歴など自身のリスクに応じて予防や評価へつながる経路を持つか'''、という点にある。男性向けの診療案内があることと、検診補助にも対象として含まれることを分けて検討する必要がある。
== 授業料だけでなく、人とのつながりや経験を得る機会――女子学生向け奨学金 ==
大学の入学枠に加え、入学後の奨学金や企業との交流機会にも性別条件を設ける事例がある。ソニーの「SONY STEAM GIRLS EXPERIENCE」は、理工系女子学生への給付型奨学金と、女子中高生へ理工系の面白さを伝える活動を組み合わせた制度である。同社は、理工系分野における女子学生の少なさや、進路・キャリア選択の障壁を課題として説明している。<sup>[[#出典50|[50]]]</sup>
=== 2026年度募集で確認した条件 ===
{| class="wikitable"
! 項目 !! 内容
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| 学年・分野 || 国内大学の理工系等の1年次、または高専から編入した3年次。国内居住等の条件がある
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| 性別 || 性自認、または戸籍上の性別が女性であること
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| 採用予定数 || 10名
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| 給付 || 授業料相当額、年最大120万円。返済不要
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| 給付期間 || 学士課程から修士課程まで、募集要項上は最長6年間。毎年の資格審査等がある
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| 家計 || FAQは、親の年収などに特段の制限・条件はないとする
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| 他の奨学金 || 他奨学金・奨学助成金の受給について応募条件・併用制限を設けている
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| 金銭以外の機会 || 女性エンジニア等との交流、社内イベント・一般非公開ショールーム等の体験、次世代への発信活動
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| 就職との関係 || 卒業後のソニーグループへの入社義務はない
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| 確認時の状況 || 2026年度募集は終了。対象・条件を示す事例として記載
|}
出典:<sup>[[#出典50|[50]]]</sup>。最大額・最長期間がすべての学生に無条件で適用される制度ではない。
性自認と戸籍上の性別のどちらも男性である学生は、この制度の性別条件を満たさない。一方、戸籍上の性別だけを基準とする女性限定制度ではないため、その点も正確に記載する必要がある。<sup>[[#出典50|[50]]]</sup>
この事例では、対象外となる資源を授業料だけに限定すると、論点を狭く捉えることになる。'''技術者から進路の実情を聞く機会、通常は入れない場所で技術を体験する機会、活動を企画・発表して経験を積む機会'''も、同じ選抜と結び付けられている。本項では、これを「資金・人とのつながり・経験を一体として得る機会の性別条件」という視点から捉える。
また、親の年収制限がない以上、この制度への応募資格は家計の苦しさだけでは決まらない。女子学生の少なさを改善する目的と、経済的に困窮する学生を性別を問わず支援する目的は、区別して評価できる。ただし、この一制度からソニーのすべての教育支援が男性を対象外にしていることや、男性の就職が不利になることまで実証したわけではない。<sup>[[#出典50|[50]]]</sup>
== 特定の大学に所属し、指導と学位を得る機会――女子大学の受入れ区分 ==
女子大学の性別条件を検討する際、大学への立入り、授業の履修、正規学生としての所属、学位の取得を一つにまとめると、制限の実態を取り違える。大学院では男性を受け入れる女子大学もあり、大学ごと、課程ごとの確認が必要である。<sup>[[#出典51|[51]]]</sup><sup>[[#出典52|[52]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 大学・確認した公式説明 !! 男性の正規入学について !! 併記すべき受入れ・例外
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| お茶の水女子大学・日本語教育コースの「Q&A 入学審査について」(2021年9月15日更新) || 男性は正規学生として入学できず、学士・修士・課程博士の学位を取得できないと説明。聴講生、学部の科目等履修生・研究生も女性に限定すると説明 || 単位互換協定による他大学からの交換学生は男女を問わず学部・大学院の授業に出られる。論文提出と審査による論文博士号も男性が取得可能と説明
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| 共立女子大学・家政学研究科の案内(2026年9月18日閲覧) || 学部学生は女子のみとする一方、大学院には男性も入学できると明記 || 家政学研究科の案内には被服、食物、建築・デザイン、児童、人間生活の研究分野が示される。女子大学にある家政学研究だから男性は参加不能、とはいえない
|}
出典:<sup>[[#出典51|[51]]]</sup><sup>[[#出典52|[52]]]</sup>。お茶の水女子大学の行は2021年更新のFAQの説明を整理したものであり、各年度の最新募集要項を全件照合したものではない。出願条件の運用や性別の扱いは最新の募集要項等で確認する必要がある。
男性が他の共学大学へ進学できることは、特定の大学の課程へ出願できないことを解消しない。大学が持つ研究分野、指導教員、教育課程の組合せを希望する男性にとっては、その組合せを正規学生として選べるかが問題となる。'''大学教育一般を受ける権利と、特定の教育・研究環境への応募機会を区別する'''ことが、本項の検討視点である。
また、単位互換で授業に参加できることは、当該大学で正規課程を修了し学位を得ることと同じではない。一方で、正規入学が制限されることから、男性教員、共同研究者、学会参加者まで一律に排除されていると推定することもできない。女子大学内の学会事務局の所在地を、その学会の会員資格と混同しないことにも通じる。
なお、女子大学の存在だけから、世界のどこにも男子大学がないとは結論できない。本項では今回確認した女子大学の具体的な受入れ条件を扱い、日本国内外の男子大学の有無や大学数の比較は、別途検証すべき事項として残す。
== 事情を評価してもらう前に、応募資格を満たせないこと――女性限定の教員公募 ==
女性限定の教員公募では、男性は業績や経験の比較に進む前の応募資格の段階で対象外になる。「同等の業績なら女性を優先する」という選考方法と、「女性しか応募できない」という募集方法は、男性の参加可能性が異なる。
=== 確認した公募例 ===
{| class="wikitable"
! 公募主体・職 !! 性別条件等 !! 確認した募集時期・内容
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| 名古屋大学大学院環境学研究科・地球環境科学専攻地球環境システム学講座 || 教授または准教授、女性限定、1名 || 締切2026年11月2日。環境保全学、社会経済農学、森林圏科学、地球惑星科学を専門分野として案内
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| 名古屋大学学生支援本部学生相談センター関係の助教・精神科医 || 女性限定、1名。任期なし || 2026年9月2日~10月16日募集、2027年4月1日採用予定。学生のメンタルヘルス相談、研究・教育、運営業務
|}
出典:<sup>[[#出典53|[53]]]</sup><sup>[[#出典54|[54]]]</sup>。これは確認した個別公募の一覧であり、同大学のすべての教員採用が女性限定であるという意味ではない。
学生相談センターの公募は、女性教員の割合が少ないことに加え、性、月経・PMS、性被害などの相談で女子学生が同性の精神科医を希望する傾向を理由として挙げる。また、男女雇用機会均等法第8条に基づく女性の参画拡大のための公募だと説明する。これらは募集主体が公表した理由であり、男性の応募制限という事実と併せて記録する。<sup>[[#出典54|[54]]]</sup>
=== 研究中断への配慮と、性別による入口の条件 ===
同じ公募には、出産・育児・介護・病気などで研究活動を中断・遅延した期間を履歴書に記載でき、その記載によって不当な評価を受けることはない、との説明がある。<sup>[[#出典54|[54]]]</sup>
ここには、次の二つの段階がある。
# '''選考に参加できるか''':当該公募は女性を対象とする。
# '''参加者の事情をどう評価するか''':育児、介護、病気等による研究中断を考慮する。
したがって、育児、介護、病気等で研究を中断した男性がいても、その共通する事情によって当該公募の性別条件を満たすことにはならない。これは男性応募者の実際の不採用事例を調査した結果ではなく、公表された条件の組合せから導かれる分析である。<sup>[[#出典54|[54]]]</sup>
この切り口では、女性研究者の少なさへの対策と、個々の研究者のケア負担や病気への配慮を、異なる目的として評価できる。「研究中断に配慮する制度がある」という説明だけでは、その選考から外れる男性の状況までは説明できない。一方、公募に女性限定の条件があることだけで、同大学が男性の研究中断に一切配慮しない、あるいは男性学生の相談を拒否する、と結論することもできない。
== 男性側の不利が減点されない採点方法――ジェンダーギャップ指数 ==
世界経済フォーラム(WEF)の『Global Gender Gap Report 2026』は、経済、教育、健康、政治の4分野で男女の状況を比較する。公式説明は、各指標について女性の値を男性の値で割り、原則として比率が1を超えた場合は1に切り詰めるとする。2026年版も、2006年導入の方法論との連続性を維持していると説明する。<sup>[[#出典55|[55]]]</sup>
=== 女性優位を「男女同等」と同点にする非対称性 ===
原則的な指標の処理は、概念的には '''採点に用いる比率=min(女性の値÷男性の値, 1)''' と表せる。以下は計算方法を示す架空の例であり、実在国の数値や総合得点ではない。健康分野の特別な基準値などを含む全指標に、そのまま適用する式ではない。<sup>[[#出典55|[55]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 架空の指標値 !! 女性÷男性 !! 上限処理後 !! 読み取れること
|-
| 女性40、男性80 || 0.50 || 0.50 || 女性側の不利は得点を下げる
|-
| 女性80、男性80 || 1.00 || 1.00 || 同等の値は上限に達する
|-
| 女性80、男性40 || 2.00 || 1.00 || 男女を逆転させた同じ大きさの差でも、男性側の不利では得点を下げない
|-
| 女性80、男性20 || 4.00 || 1.00 || 男性の値がさらに下がっても、この処理後の得点は変わらない
|}
この意味で、「女性優位でも高い得点になる」という指摘には、方法論上の根拠がある。ただし、'''女性優位を男女同等より高く評価する追加点が付く、という説明は正確ではない。女性優位と男女同等を、同じ上限値にまとめる'''のが中心的な問題である。数値上の女性優位だけから、その国や分野に女性による支配・男性差別の意図があると認定することもできない。
また、女性40・男性80の状態から女性40・男性40になる場合、女性の値が改善しなくても、比率は0.5から1へ上がる。逆に、女性80・男性40から女性80・男性80へ男性側が改善しても、上限処理後は1のままである。これは算式から導かれる例であり、WEFが男性の状況悪化を政策として推奨しているという意味ではない。
=== 男性の教育上の不利は、同じ指標の「未達成の格差」にならない ===
2026年版は、高等教育への在籍について、対象145か国・地域のうち111で男女同等または女性の方が多いと説明する。したがって、上限処理は単なる非現実的な想定だけに関わるものではない。ただし、この111には男女同等のケースも含まれ、すべてで男性が劣位という件数ではない。<sup>[[#出典55|[55]]]</sup>
男性の教育上の不利も含めた対称的な格差を把握したい場合には、上限処理前の男女別数値や比率も読む必要がある。'''女性側の遅れがどれだけ解消されたかを示す得点と、男女どちらの不利も同じように検出する得点は、同じものではない。''' 本項では、男性の課題が議論のための代表的な数字に反映されにくくなる事例として位置付ける。
=== 健康分野では「同じ値」が基準ではない ===
同報告書は、出生時の男女比について女性/男性0.944、健康寿命について女性/男性1.06を基準として説明している。特に健康寿命は、女性が男性より6%長い水準を比較の基準に置くため、男女の健康寿命が完全に同じであることと、この指標で基準に達することは異なる。<sup>[[#出典55|[55]]]</sup>
この6%は、男女の平均寿命の実測差、男性が短命であるべきだという倫理的主張、すべての国にそのまま当てはまる生物学的事実を意味しない。指標が採用する評価基準である。健康寿命と平均寿命も別の量であるため、本項の老齢年金に関する議論とはそのまま接続しない。
本例で問うのは、評価対象となる数値が存在しないことではなく、'''何を問題のある格差として得点に反映するかを決める段階で、男性側の不利がどのように扱われるか'''である。高い総合順位だけで、男性も含むすべての人の平等や権利保障が達成されていると判断することはできない。
== ジェンダー研究団体の役員構成――公表人数からみる意思決定の偏り ==
ジェンダーを論じる学会については、女性の少ない他分野に男女の代表性を求めるのと同様に、その学会自身の意思決定にも多様な当事者が参加できているか、という問題を立てることができる。日本学術会議の「学会名鑑」には、団体が自ら更新する役員数の男女別情報が掲載されている。<sup>[[#出典56|[56]]]</sup><sup>[[#出典57|[57]]]</sup><sup>[[#出典58|[58]]]</sup><sup>[[#出典59|[59]]]</sup><sup>[[#出典60|[60]]]</sup><sup>[[#出典61|[61]]]</sup><sup>[[#出典62|[62]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 団体 !! 役員総数 !! 男性 !! 女性 !! その他 !! 女性比率
|-
| 日本ジェンダー学会 || 18 || 6 || 12 || 0 || 66.7%
|-
| ジェンダー史学会 || 30 || 6 || 24 || 0 || 80.0%
|-
| ジェンダー法学会 || 34 || 8 || 26 || 0 || 76.5%
|-
| 日本女性学会 || 14 || 2 || 11 || 1 || 78.6%
|-
| 国際ジェンダー学会 || 14 || 未掲載 || 未掲載 || 0 || 算出できない
|-
| 日本スポーツとジェンダー学会 || 23 || 未掲載 || 未掲載 || 未掲載 || 算出できない
|}
出典は順に<sup>[[#出典56|[56]]]</sup><sup>[[#出典58|[58]]]</sup><sup>[[#出典59|[59]]]</sup><sup>[[#出典60|[60]]]</sup><sup>[[#出典57|[57]]]</sup><sup>[[#出典61|[61]]]</sup>。2026年9月18日に閲覧した掲載値であり、各ページの人数欄で集計基準年を確認できないため、'''2026年度の現任役員数とは断定しない'''。比率は女性数を役員総数で割り、小数第1位に丸めた独自計算。「その他」も分母に含む。未掲載を0人とは扱っていない。また、掲載項目は「役員」であり、すべてを「理事」と言い換えることはできない。
男女別内訳を確認できた4学会では、いずれも女性が役員の3分の2以上を占め、男性は少数である。ただし、この6団体はジェンダー・女性学に関わる団体を取り上げた事例比較であり、全学界の代表標本ではない。また、これらの掲載ページには会員全体の男女別内訳がないため、男性会員の割合に比べて男性役員が少ないか、立候補・選出過程に性別制限があるかまでは、この表から判断できない。
「議論の場からの排除」という観点で問うべきなのは、人数だけでなく、少数側が議題を提案できるか、役員や査読者になれるか、男性の被害・困難を研究課題として扱えるか、という実際の権限である。人数の偏りはその検討の出発点となるが、男性を一律に参加禁止にしている証拠ではない。日本ジェンダー学会の設立趣旨は男性学研究者の参加と男女共同の研究を明記しており、日本女性学会にも男性役員が掲載されている。<sup>[[#出典56|[56]]]</sup><sup>[[#出典60|[60]]]</sup>
選考規則について、ジェンダー法学会の公表規程は、選挙で理事20人を選び、さらに推薦理事10人程度を選ぶ構成としている。推薦時には専門分野・年齢・性別等のバランスを考慮すると定め、性別の均衡に配慮する条文自体は存在する。確認した規程には女性限定の役員資格はない。したがって、上の女性比率を「男性は理事になれない」という意味で紹介するのは不正確である。<sup>[[#出典63|[63]]]</sup>
論点としては、男女の人数の偏りを問題にする組織に対し、'''自らの運営についても同じ基準で構成・選考方法・議題設定の機会を公開することを求められるか'''、という対称性の検証が挙げられる。他分野への要求との不一致を断定するには、各学会が実際に表明した数値目標や役員選考規則との照合がさらに必要である。
== 市長に直接質問する席の女性限定――男女共同参画事業としての女性議会 ==
鹿沼市は、女性リーダーの育成と男女共同参画意識の向上を目的として「女性議会」という模擬議会を実施している。2026年の募集では、市内在住・在勤・在学の'''女性から10人以内'''の模擬議員を選び、2027年2月6日に市議会本会議場で、市長以下の市幹部が質問に答える計画を示した。男性はこの募集の模擬議員の対象に含まれない。<sup>[[#出典64|[64]]]</sup>
これは単に女性を題材にした講演ではなく、一般市民に質問・意見表明の席を割り当て、市側の正式な応答を得る機会を性別で区切る事例である。前回の2023年11月1日の開催報告では、10人の女性議員が「女性の地位向上」や少子化対策に加え、防災や通学路の整備についても市長に質問・要望したとされる。女性固有の身体経験だけに限定された議題ではない。<sup>[[#出典65|[65]]]</sup>
ここからは、'''男女共同参画について話す市民の育成・登用段階で、男性の一般市民が対象から外れる'''という論点が生じる。たとえば同じ防災上の困難を抱える住民でも、この事業の質問者となれるかは性別によって異なる。ただし、男性の傍聴を禁止したという資料ではなく、通常の市議会への立候補・請願など、他の市政参加経路が男性に閉ざされていることを示すものでもない。模擬議会を、条例や予算を議決する通常の議会と混同してはならない。
女性の政治参画を促すという実施目的を踏まえたうえで検討できるのは、女性向けの育成枠と、性別を問わず未経験の市民が提案する枠をどのように組み合わせるか、という設計である。とりわけ「男性が政治を支配している」という集団単位の議論から、政治的発言力の乏しい個々の男性まで支援不要と扱われるなら、集団間の格差是正と個人の参加機会が食い違う。本事例はその検討材料となる。2026年9月18日時点で、2027年分は募集・開催予定を確認した段階であり、開催実績としては扱わない。
== 聴講できても育成人材にはなれない――公開講演と女性限定の継続講座 ==
関連項目:[[小田原市男女共同参画セミナー(2026年)]]
埼玉県男女共同参画推進センター「With You さいたま」は、2026年度に全7回の「女性リーダー育成講座」を開講し、対象を地域・社会活動への意欲がある県内在住・在勤・在学の女性、定員を30人、参加費を無料としている。講義に加えてワークショップ、交流、活動計画の発表、修了式を組み合わせ、地域で活動する人材とネットワークを育てる事業である。<sup>[[#出典66|[66]]]</sup>
この事業の特徴は、一般公開される講演と、女性を受講対象とする継続的な育成枠が重なっていることにある。
{| class="wikitable"
! 同じ事業日程にある機会 !! 公表された対象・内容
|-
| 2026年9月19日の公開講演「こどもも大人も幸せになるためのジェンダー教育―学校と社会の男性性を問い直す」 || 対象は「どなたでも」、定員120人。男性も聴講対象に含まれる
|-
| 女性リーダー育成講座の第4回 || 上記公開講演にワークショップを組み合わせた日程。育成講座全体の募集対象は女性
|-
| 第3回の男女共同参画基礎講座・交流会 || 育成講座のカリキュラムに位置づけられる
|-
| 第7回の活動支援 || 起業、リーダー、地域活動について学び、活動計画を発表する構成
|}
出典:<sup>[[#出典66|[66]]]</sup><sup>[[#出典67|[67]]]</sup>。第4回以降は2026年9月18日時点の開催予定。
したがって、「男性性を話題にする講演から男性を締め出した」と書くのは誤りである。一方で、男性が公開講演の参加者になれることと、継続して議論し、活動について助言を受け、仲間をつくる'''育成事業の受講生になれることは同じではない'''。女性向けの育成枠に男性が応募できない、という限定された機会の差は募集条件から確認できる。<sup>[[#出典66|[66]]]</sup><sup>[[#出典67|[67]]]</sup>
継続的な支援という点では、同センターは2024年3月に過年度の女性リーダー育成講座修了生12人を対象とするフォローアップ講座も開催している。内容は女性の政治参画、近況発表、個別の助言、修了生同士の意見交換だった。入口の育成対象を誰にするかは、その後の交流や助言の機会にも関わる。<sup>[[#出典68|[68]]]</sup>
この事例での論点は、'''ジェンダーの議論への参加を、会場に入れるかという一段階だけで測らないこと'''である。公開講演の聴講、少人数の意見交換、継続指導、修了生ネットワークは、それぞれ異なる参加機会である。女性リーダー育成という事業目的は明示されているが、ジェンダー問題の改善に取り組みたい男性にも同等の活動支援経路があるかは、別途検証する価値がある。同センターの全事業が女性専用、あるいは男性向け事業が一切存在しないとする根拠にはならない。
== 政策を議論する人材の候補名簿――女性人材バンクへの男性の登録不可 ==
審議会の会議当日に参加を拒むのではなく、'''候補者を探す段階の名簿に載れるか'''という違いもある。自治体の女性人材バンクは、女性の政策決定への参画を増やすため、委員等の候補情報を登録する仕組みである。以下の3市は、登録対象を女性と明記している。<sup>[[#出典69|[69]]]</sup><sup>[[#出典70|[70]]]</sup><sup>[[#出典71|[71]]]</sup>
{| class="wikitable"
! 自治体・制度 !! 主な登録条件 !! 登録情報の用途
|-
| 古河市「女性人材バンク」 || 市内在住・在勤・在学の18歳以上の女性。市政への関心と委員としての活動意欲、または専門知識・活動実績・資格を持つこと等 || 市の審議会等の委員選出。女性委員を選任する担当課が台帳を利用
|-
| 坂東市「女性人材バンク」 || 市内在住・在勤の18歳以上の女性(高校生を除く)。活動意欲または知識・実績・資格があり、市税等の滞納がないこと等 || 政策・方針決定への参画を促す委員候補の登録。登録分野には男女共同参画、防災、福祉、都市計画等が含まれる
|-
| 伊勢崎市「女性人材データバンク」 || 市内在住・勤務・在学または市内団体所属の女性で、各分野での活動または専門的知識・技能があること || 審議会等の委員だけでなく、市が関わる講演会の講師、シンポジウムのパネリストの人選
|}
出典:<sup>[[#出典69|[69]]]</sup><sup>[[#出典70|[70]]]</sup><sup>[[#出典71|[71]]]</sup>。要件を要約した表であり、職員・議員の除外等の細目は各募集案内による。
男性は、同じ地域で活動し、同じ専門知識を持っていても、これらの女性専用名簿には登録できない。特に伊勢崎市では講師・パネリスト選びにも利用するため、行政の議論の場で「誰を専門家・発言者として見つけるか」に関わる仕組みでもある。ただし、3市とも登録が委員への登用を保証するものではないと説明しており、名簿に入れることと実際の選任は別である。<sup>[[#出典69|[69]]]</sup><sup>[[#出典70|[70]]]</sup><sup>[[#出典71|[71]]]</sup>
また、これらの名簿が人選の唯一の経路であるとは確認できない。古河市は、2025年の男女共同参画推進会議委員の公募では、市内在住18歳以上、活動意欲、会議への出席等を要件とし、女性に限定していない。したがって同市については、男女共同参画を審議する委員そのものを男性に禁止した事例ではなく、'''女性には追加の登録・発掘経路が用意され、男性はその経路を使えない事例'''として整理するのが適切である。<sup>[[#出典72|[72]]]</sup>
参加機会を検討する際には、会議の出席者比率だけでなく、人材発掘、候補者名簿、推薦、登壇依頼まで遡って、議論を担う人々がどう選ばれるかを検討できる。女性登用の促進という目的を認めたうえでも、男性の生活上の困難に詳しい当事者・研究者を発掘する経路や、性別を問わない新規参入経路を併設するかは、政策上の別の課題となる。
== 男性だけの討論会に求められる辞退・交代――パネル構成の是正基準 ==
国連グローバル・コンパクトは2016年3月15日、第60回国連女性の地位委員会に合わせた行事で「UN Global Compact Panel Pledge」を発表した。ニューヨーク本部の職員に男性だけで構成されるパネルの開催・参加をしない誓約を呼びかけ、男性職員がそのようなパネルへ招かれた場合の対応として、女性同僚への交代を求めること、出席する場合は女性登壇者の重要性を訴えること、登壇を辞退することを挙げた。国際的なネットワークや企業にも同様の誓約を促している。<sup>[[#出典73|[73]]]</sup>
UN Womenも2016年7月の声明でこれを紹介した。同声明は、障害者権利委員会の新しい構成で女性委員が1人にとどまることを問題とし、女性の参加がないパネルや委員会を構成しないよう求めた。その背景には、障害のある女性の経験が十分に代表されなくなるという懸念がある。<sup>[[#出典74|[74]]]</sup>
ここで確認できるのは、女性の登壇を確保するために、'''男性の側が登壇機会を譲る、または辞退する対応を具体的に求められる'''という方針である。2016年の公表文では、女性だけで構成されたパネルに対し、男性同僚への交代や女性の辞退を求める対称的な手順は記されていない。<sup>[[#出典73|[73]]]</sup><sup>[[#出典74|[74]]]</sup>
ただし、この方針は男性全員の登壇禁止ではなく、女性が参加する構成への変更を促すものだ。発表では男女双方の視点を聞けるようにする目的も述べられている。また、参加した場合に女性登壇の重要性を訴えるという選択肢もあるため、あらゆる場面で辞退を強制した規則とまでは書けない。ここで扱うのは2016年に公表された取組であり、2026年現在の全職員・全行事の運用を確認したものではない。<sup>[[#出典73|[73]]]</sup>
「ジェンダーの議論の場」という観点からは、誰が話すかだけでなく、'''誰の不在を改善すべき欠落と認定するか'''という基準の問題となる。女性不在の討論会を問題とする原則と、男性不在の討論会で男性の経験が十分に議題化されるかという問いは両立する。女性登壇者の増加を目的とする個別の取組を、性別を問わず偏りを測る一般的な基準と同一視しないことが重要である。


== 出典 ==
== 出典 ==
430行目: 831行目:
# <span id="出典34"></span>: 内閣府男女共同参画局「[https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/ 女性に対する暴力の根絶 | 内閣府男女共同参画局]」。2026年9月18日閲覧。
# <span id="出典34"></span>: 内閣府男女共同参画局「[https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/ 女性に対する暴力の根絶 | 内閣府男女共同参画局]」。2026年9月18日閲覧。
# <span id="出典35"></span>: 法務省「[https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_6_1_2_0.html 令和7年版 犯罪白書 第6編/第1章/第2節]」。2025年版、2026年9月18日閲覧。[https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/images/full/h6-1-2-1.jpg 6-1-2-1図の拡大画像]もブラウザで確認。集計対象年は2024年。
# <span id="出典35"></span>: 法務省「[https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_6_1_2_0.html 令和7年版 犯罪白書 第6編/第1章/第2節]」。2025年版、2026年9月18日閲覧。[https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/images/full/h6-1-2-1.jpg 6-1-2-1図の拡大画像]もブラウザで確認。集計対象年は2024年。
# <span id="出典36"></span>: 日本政策金融公庫『[https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/02_zyoseikigyouka_m.html 新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)|日本政策金融公庫]』。2026年9月18日閲覧。国民生活事業の案内。
# <span id="出典37"></span>: 中小企業基盤整備機構『[https://j-net21.smrj.go.jp/publicsupport/2018112801.html 新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連) | 補助金・助成金だけじゃない!中小企業支援施策 | J-Net21&#91;中小企業ビジネス支援サイト&#93;]』。2026年2月更新、2026年9月18日閲覧。
# <span id="出典38"></span>: 国税庁『[https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1170.htm No.1170 寡婦控除|国税庁]』。令和8年4月1日現在法令等、2026年9月18日閲覧。
# <span id="出典39"></span>: 国税庁『[https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1171.htm No.1171 ひとり親控除|国税庁]』。令和8年4月1日現在法令等、2026年9月18日閲覧。ページに令和8年12月施行の子の所得要件変更への注記あり。
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# <span id="出典63"></span>: ジェンダー法学会「[https://jagl.jp/?page_id=76 役員選出規定 - Japan Association of Gender and Law]」(2025年12月7日施行の附則を掲載、2026年9月18日閲覧)。
# <span id="出典64"></span>: 鹿沼市「[https://www.city.kanuma.tochigi.jp/0761/info-0000011376-0.html 女性議会を開催!模擬議員を募集します(2026.6) | 鹿沼市 公式ホームページ]」(2026年6月23日掲載、6月29日更新、2026年9月18日閲覧)。
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# <span id="出典67"></span>: 埼玉県「[https://www.pref.saitama.lg.jp/withyou/event/list/0919daiba-shitee.html ダイバーシティ講演会「こどもも大人も幸せになるためのジェンダー教育-学校と社会の男性性を問い直す」 - With You さいたま 埼玉県男女共同参画推進センター]」(2026年8月4日掲載、2026年9月18日閲覧)。
# <span id="出典68"></span>: 埼玉県「[https://www.pref.saitama.lg.jp/withyou/event/report/r5/0302lederfollowup.html 第2回女性リーダー育成講座 フォローアップ講座 - With You さいたま 埼玉県男女共同参画推進センター]」(2024年3月2日実施、2024年11月12日掲載、2026年9月18日閲覧)。
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# <span id="出典71"></span>: 伊勢崎市「[https://www.city.isesaki.lg.jp/soshiki/siminbu/jinken/kyodo/2386.html 女性人材データバンク/伊勢崎市]」(2026年4月1日更新、2026年9月18日閲覧)。
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# <span id="出典73"></span>: UN Global Compact「[https://unglobalcompact.org/news/worlds-largest-corporate-sustainability-initiative-says-no-all-male-panels World’s Largest Corporate Sustainability Initiative Says No to All-Male Panels | UN Global Compact]」(2016年3月15日、2026年9月18日閲覧)。
# <span id="出典74"></span>: UN Women「[https://www.unwomen.org/en/news/stories/2016/6/committee-on-the-rights-of-persons-with-disabilities UN Women statement on the Committee on the Rights of Persons with Disabilities | UN Women – Headquarters]」(2016年7月1日、2026年9月18日閲覧)。

2026年9月18日 (金) 08:31時点における版

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男性排除事例の一覧は、男性が性別を理由に施設・サービス・選考・支援の対象から外れる事例や、男女で異なる義務・保護・給付条件を整理するものである。本項では、明示的な利用資格の制限、女性に限られる専用枠、男性に限られる負担、男女共通の制度の下で生じる結果の差を区別する。また、男性の経験が統計や支援の対象として認識されるか、本人の身体や外見への意思が尊重されるかも検討する。「排除」はこれらの論点をまとめるための表現であり、掲載されたすべての制度について違法性や不当性が認定されているという意味ではない。明示的な条件が確認できた事例と、その条件や研究報告から問題を考察する部分を分けて読む必要がある。

男性への不利益を検討する視点

類型 確認すべき内容 留意点
利用・参加資格からの排除 性別による入場、利用、出願の制限 全面禁止、男性のみの利用禁止、協力要請を区別する
専用枠・支援からの排除 女性限定の定員、施設、助成など 男性が一般枠を使えることと、専用枠を使えないことは両立する
負担・危険の非対称 男性に限られる兵役など 国・年度・免除条件と、義務の実際の内容を確認する
保護・給付の結果の差 避難先へのアクセス、受給期間など 結果の差だけから、制度による利用禁止や差別意図を推定しない
苦痛・被害の認知からの排除 男性の苦痛を軽く評価する基準、男性被害を否定する固定観念 制度の条文、具体的な対応、一般的な意識を区別する
ケアの担い手としての排除 男性が養育者やケアの専門職になる際の資格・支援条件 男性本人だけでなく、養育される子供などへの影響も調べる
支援を受ける当事者としての認識 男性が家族を支える役割だけでなく、自分自身も支援を必要とする人として扱われるか 支援者役割への満足と、本人の悲嘆が見落とされる経験を区別する
統計・成果測定の対象範囲 男性の経験が特定の分類や政策指標に含まれるか 一つの指標の対象外であることと、調査・支援全体からの排除を区別する
議論を担う人の発掘・育成 委員候補の名簿、継続講座、講師や登壇者の選定に性別条件があるか 公開講演の聴講、継続的な討議、助言を受ける機会を区別する
運営上の代表性・是正基準 学会役員の構成、選考規則、どちらの性の不在を改善対象にするか 人数の偏りだけから参加禁止や研究内容の偏りを断定しない
身体・外見への自己決定 性別によって髪型や身体への処置を拒む余地が異なるか 規則上の義務、実施の強制方法、人権救済の判断を分ける

各事例で重視するのは、何へのアクセスが、どの条件で制限されるのかである。例えば、融資全体を利用できないことと特別利率の条件を満たさないこと、授業に出られることと正規課程へ入学できることは異なる。集団の男女比を改善する制度では、同じ困窮・喪失・ケア負担を持つ個人が性別によって異なる扱いになるか、という視点も用いる。

ジェンダーを論じる場については、さらに、誰が参加できるか、誰が運営するか、何を議題にするか、何を改善として数えるかを分けて検討する。男性の委員がいるだけでは男性の課題が十分に扱われていることの証明にならず、女性の委員が多いだけでは男性の課題を扱えないことの証明にもならない。以下の学会構成表は人数について、募集要項は参加資格について、ジェンダーギャップ指数は採点基準についての資料であり、別々の種類の根拠として用いる。[55][56][58][59][60][64][66][69][70][71]

女性専用車両・女性専用席

女性専用車両は、車両の一部を女性などの利用対象者に割り当てる制度である。以下は2026年9月17日に公式案内を確認した事業者の一覧であり、全国の全事業者を網羅したものではない。実施時間外の扱い、対象となる列車種別、運行障害時の中止にも注意が必要である。[3][4][5]

事業者別の確認一覧

事業者 路線・区間 実施日時・対象 男性の利用について公式に示された例外 出典
東京都交通局 都営新宿線 本八幡→新宿は平日7:15~9:00本八幡発。逆方向は7:30~9:30新宿発のうち京王線内で実施する列車。各方向の先頭車両 小学生以下、身体の不自由な男性と介護者。内部障害など外見から分かりにくい場合もある [3]
東京都交通局 都営大江戸線 平日7:00~8:30光が丘発六本木・大門方面、7:15~8:10都庁前2番線発飯田橋・両国方面。4号車 同上 [3]
東京メトロ 日比谷線・北千住→中目黒 平日7:30以降北千住発、9:00一斉終了 小学生以下、身体の不自由な利用者と介護者 [4]
東京メトロ 東西線・西船橋→大手町 平日6:57以降西船橋発(妙典始発を含む)、9:00一斉終了 同上 [4]
東京メトロ 千代田線・両方向 平日7:10以降北綾瀬・綾瀬・代々木上原発、9:30一斉終了。綾瀬~北綾瀬の3両編成を除く 同上 [4]
東京メトロ 有楽町線・和光市/小竹向原→新木場 平日始発から9:30一斉終了 同上 [4]
東京メトロ 半蔵門線・両方向 平日始発~9:30。渋谷方面は押上発9:20まで 同上 [4]
東京メトロ 副都心線・和光市/小竹向原→渋谷、渋谷→池袋 平日始発から9:30一斉終了。列車種別や8両・10両の違いを問わない 同上 [4]
JR西日本 大阪環状線・JRゆめ咲線、学研都市線、JR京都線(一部琵琶湖線)、JR神戸線、JR宝塚線、JR東西線、阪和線、大和路線(一部和歌山線)、おおさか東線の対象列車 土曜・休日を含む毎日、始発~終電。全列車種別が対象という意味ではない 小学6年生以下の男性、身体の不自由な利用者と介助者 [5]

JR西日本では、例えばJR京都線の対象は草津~京都~大阪の普通列車、JR神戸線は大阪~加古川の普通列車である。学研都市線・JR東西線では普通・快速・区間快速、阪和線では普通・区間快速・快速が案内されている。対象の車両形式や編成も指定されるため、路線名だけからすべての列車に女性専用車があるとはいえない。[5]

利用制限の性質と男性への影響

東京都交通局は、車内の痴漢等の性犯罪・迷惑行為を防止し、安心して利用できるようにすることを目的として説明する。同局は、利用者の任意の協力に基づく運行で強制力を帯びないことなどから、性別による差別には当たらないとの見解を示している。これは運営者の説明であり、すべての法的争点について裁判所が判断したことを意味しない。[3]

男性側の論点は、一般の成人男性には当該車両を通常の選択肢としない運用への協力が求められること、男性の痴漢被害者などが性別だけでは利用対象にならないことである。一方、男性の乗車が法律によって一律に禁止される制度と記述するのは、少なくとも東京都交通局の公式説明と一致しない。利用対象に含まれる男性を外見だけで判断することもできない。[3][4]

特急列車などの女性専用席

JR西日本は、サンダーバード、くろしお、らくラクはりま、WEST EXPRESS 銀河の一部について、車両全体ではなく一部の座席を女性専用席としている。対象は女性と、同伴する小学6年生以下の男児であり、指定席特急料金で利用する。一般の座席に乗車できることとは別に、成人男性にはこの座席区分を選択する機会が用意されていない事例である。通勤列車の女性専用車両とは、予約・発売の対象となる座席区分である点を区別する。[5]

プリクラ施設の男性のみの入場制限

プリントシール機の店舗・コーナーには、男性のみでの入場を認めないものがある。女性の同伴を条件に男性を認める運用は、男性全員の絶対的な入場禁止とは異なるが、男性一人や男性同士での利用を制約する。[6][7]

店舗・施設 確認された制限 例外・範囲・確認時点 出典
ガールズミニョン・ラブラ2(新潟) 商業施設の店舗案内が男性のみの入店を断っている 2026年9月17日閲覧。案内ページはラブラ2の4階店舗を対象とする。全国全店舗の統一規則とまでは確認していない [6]
namco池袋店のプリクラコーナー 2022年3月19日から原則女性のみ、女性同伴の男性は入場可能と告知 2022年3月15日の店舗アカウント投稿。画像にも男性のみの入場禁止と女性同伴の条件を掲示。店舗全体への男性入店禁止ではない [7]

namco池袋店は翌3月16日、アコスタでは終日入場制限を設けないこと、同年3月28日~4月3日の「7m!n×namco池袋店」コラボイベントでも男性のみで利用できることを補足した。ただし、当該コラボイベントではノベルティの配布終了後に通常の入場制限に戻るとの条件があった。さらに、男性のみでも終日利用できるプリクラを数台用意しているとも説明している。これらは2022年当時の告知であり、2026年現在も同一条件であるとまでは確認していない。[8][9]

この種の制限では、迷惑行為の有無にかかわらず、男性だけの来店という条件で利用可能な区画や機械が変わる。比較すべき対象は、単に撮影できるかどうかだけでなく、同じ機種・設備・同行者の条件で利用できるかどうかである。一方、店舗ごとの規則や例外を確認せず、プリクラ全般が男性利用禁止であると記述することはできない。[6][7][8][9]

コンビニの「女性専用+男女共用」トイレ

関連項目:女性用トイレ行列問題

日本トイレ協会が公開した2022年9月15日のセミナー記録では、小松義典によるコンビニトイレ研究の報告に、男女共用の洋式便器1器を、男女共用と女性専用の洋式便器2器へ改修した店舗の例がある。改修前の2009年は1日125人、改修後の2010年は146人が利用し、内訳は共用110人、女性専用36人だった。記録では当該店舗名は特定されていない。[21]

この2ブースの構成では、利用対象は次のようになる。

ブース 男性 女性
女性専用 利用対象外 利用対象
男女共用 利用対象 利用対象
自分の性別だけの専用ブース なし あり

男性はトイレ全体から排除されているわけではないが、女性にはある専用ブースの選択肢がない。共用ブースが埋まっている際に女性専用ブースだけが空いていれば、利用できる選択肢にも差が生じる。ただし、実際の待ち時間や男女それぞれの混雑の程度は、この配置だけでは決まらず、利用人数や占有時間のデータが必要である。

同報告には、男性用小便器を併設する店舗や、男性専用・共用・女性専用を並べる配置の検討も含まれている。したがって、すべてのコンビニに男性専用設備がないとはいえず、ある店舗の表示をチェーン全社の統一方針とすることもできない。個室の数と小便器の数は、排便を含む利用可能性が異なるため、別々に数える必要がある。[21]

教育の性別定員と女子枠

都立高校の男女別定員の廃止

東京都教育委員会は、男女別定員を定めていた全日制普通科(単位制・コースを除く)について、2022年度は定員の10%、2023年度は20%を男女合同で決定する緩和措置を実施した。2024年度からは推薦に基づく選抜を含め、男女合同選抜へ移行した。[10]

都教委が緩和措置後の実際の結果と男女合同選抜を仮定した結果を比較したところ、以下の差があった。[10]

入試年度 対象校 男女合同でも結果が同じ 男女合同なら女子合格者が増える 男女合同なら男子合格者が増える
2022年度・10%緩和 109校 81校 23校 5校
2023年度・20%緩和 108校 99校 9校 0校

2023年度の9校のうち、女子合格者数の差が最大の学校では23人、男女の合格最低点の差が最大の学校では51点の差があった。こうした学校では、性別定員が男女合同の得点競争に比べて男子の合格人数を確保する働きをしていたと読める。一方、2022年度には逆に男子の合格者が増える学校も5校あり、すべての学校・年度で男子だけを保護していた制度と一括することはできない。[10]

大学理工系の女子枠――東京科学大学の例

東京科学大学は、2024年度入試から理工学系学士課程の総合型・学校推薦型選抜へ女子枠を順次導入した。同大学が2026年9月4日に示した募集人員は次のとおりである。[11]

入試年度 一般選抜 総合型・学校推薦型選抜 うち女子枠
2023年度・導入前 930人 98人 導入前
2026年度 813人 255人 154人

同大学は、総合型・学校推薦型選抜の一般枠には性別を問わず出願できると説明する。その一方で、女子枠という追加の選抜区分は男性が利用できない。一般選抜が残っていることだけでは、選抜機会に性別差がないことにはならない。[11]

大学側は、従来の広報や女子中高生向け行事、寮・奨学金整備では女子学生比率に大きな変化がなく、著しい男女の偏りを改善する積極的改善措置として導入したと説明している。また、一般選抜と総合型選抜は試験の構成・配点・評価項目が異なるため、別区分の点数の単純比較はできないとする。募集人数に満たなくても所定の水準に達しない受験生を人数合わせで合格させない方針も示している。[11]

二つの制度を比較する論点

都立高校では性別による定員区分を撤廃した一方、理工系大学では女性限定の定員区分が導入されている。この比較からは、性別定員の是非を判断する基準、人数が少ない側への配慮の一貫性、男性に不利な分野でも同様の是正策が用意されるか、という論点が生じる。

ただし、都立高校の制度と大学の女子枠では、教育段階、制度目的、試験方式、比較する受験者集団が異なる。都立高校の男女別合格最低点の差と、大学の異なる選抜方式の点数差は同じ指標ではない。また、この二事例だけから、あらゆるアファーマティブアクションが男性を対象外としていると一般化することもできない。[10][11]

DV被害者の相談・避難先

朝日新聞が2024年10月に47都道府県すべてから回答を得た調査では、都道府県が設置する公的シェルターが女性専用であるとした自治体は42だった。民間団体への委託などにより男性も避難できるシェルターを確保していた自治体は20だった。自治体側は、男女の居室を分離できない建物の構造や、男性の需要を把握できていないことなどを理由に挙げていた。[12]

調査で確認された事項 都道府県数・件数 数字の意味
設置する公的シェルターが女性専用 42自治体 女性専用施設の全国総数ではない
委託等で男性も避難できるシェルターを確保 20自治体 男性専用施設20か所という意味ではない
男女の相談曜日・時間が完全に同じ 31自治体 それ以外には男性の受付時間・曜日が限定される例がある
男性の対面相談を受け付けず電話・オンラインのみ 11自治体 相談方法の差を示す
都道府県設置相談機関での2023年度相談延べ件数 男性2,143件、女性60,358件 被害者の実人数や被害の全数ではない

42自治体と20自治体は、異なる質問への回答であり、互いに排他的な区分ではない。公的施設が女性専用でも、男性向けの避難先を外部へ委託している場合があるため、両者を足して施設数や自治体総数を算出することはできない。[12]

この事例における男性の不利益は、DV被害者であっても既存の施設へ直接入れない場合があることや、相談方法・利用時間の選択肢が少ないことである。施設数、定員、実際に利用できた人数、受入れを断られた件数は別々の指標であり、本調査から全国の男女別シェルター施設数の比率までは算出できない。[12]

遺族給付の性別条件

遺族厚生年金の夫・妻の条件差

日本年金機構の2026年6月22日更新の案内では、遺族厚生年金の対象となる配偶者に性別による条件差がある。例えば子のない夫は死亡した妻によって生計を維持されていたことなどに加え、55歳以上という年齢条件があり、受給開始は原則60歳である。他方、子のない妻には同じ55歳以上の条件がなく、30歳未満の妻については5年間の有期給付となる。[13]

したがって、同じ年齢・家計状態で配偶者と死別しても、55歳未満の子のない男性は、女性と同じ条件ではこの給付の対象になれない。また、中高齢寡婦加算は、所定の条件を満たす妻に40歳から65歳まで加算する仕組みである。これは、老齢年金の平均的な受給期間の差とは異なり、給付資格・加算対象に直接性別条件が置かれる例である。[13]

以上は確認時点の公式案内に基づく。将来施行される改正や個別の経過措置を含むすべての世代に、同じ条件が恒久的に適用されるという意味ではない。

寡婦年金

国民年金の寡婦年金は、原則として第1号被保険者としての納付・免除期間が10年以上ある夫の死亡時に、婚姻関係が10年以上続き、その夫に生計を維持されていた妻に対し、60歳から65歳まで支給する制度である。妻の死亡によって夫に支給する制度としては規定されていない。老齢基礎年金の繰上げ受給などによって支給されない場合もある。[14]

この制度の対象が妻に限られることと、男性遺族には他の年金・給付が一切存在しないことは同義ではない。比較には、給付ごとの資格と、他制度から受けられる保障を分けて確認する必要がある。[13][14]

老齢年金の支給開始年齢と寿命差

男女共通の原則と受給期間の論点

日本の老齢基礎年金は、保険料納付済期間・免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合、原則として65歳から支給される。60歳から65歳までの繰上げ受給では減額され、66歳から75歳までの繰下げ受給では増額される。一定の生年月日などに該当する人には繰下げ上限70歳の経過措置がある。日本年金機構の案内は、原則の受給開始年齢を男女別には定めていない。[1]

この制度については、男女の寿命が異なる場合、同じ年齢から受給を始めても平均的な受給期間が異なるという論点がある。ただし、これは男性が老齢年金の受給資格を持たないという意味の排除ではない。比較に当たっては、出生時の平均寿命から65年を引くだけではなく、65歳まで生存した人の平均余命、受給開始の選択、保険料納付歴、年金額などを区別する必要がある。

特別支給の老齢厚生年金の男女差

老齢年金全体を「受給開始条件に男女差がない」と説明することも正確ではない。厚生年金の支給開始年齢を60歳から65歳へ引き上げる経過措置である「特別支給の老齢厚生年金」には、性別と生年月日による差がある。[2]

日本年金機構が示す対象要件の一部 男性 女性
対象となる生年月日の上限 1961年4月1日以前 1966年4月1日以前
その他の主な要件 老齢基礎年金の受給資格期間10年、厚生年金等への加入1年以上、生年月日別の支給開始年齢への到達 左記と同じ

女性についても、共済組合等から支給される老齢厚生年金の受給開始年齢は男性と同じとされる。したがって、この経過措置は、加入した制度と生年月日を特定して比較する必要がある。女性の対象世代が男性より5年後まで残されているという差と、現在の老齢基礎年金の原則が男女共通であることは、別の事実として扱う。[2]

徴兵・兵役登録――義務と危険の非対称

詳細は徴兵を参照。

男性に兵役または兵役登録を義務付ける制度では、性別により、身体の自由、進学・就労時期、軍務への拘束という負担が異なる。これを「平和からの男性排除」という観点で論じる場合にも、登録、実際の入隊、戦闘への動員を区別する必要がある。

国・制度 確認された男性への義務 資料から分かる範囲・留意点 出典
韓国・兵役制度 兵務庁は、兵役法が男性国民に兵役義務を課し、これを強制徴兵の根拠と説明する 国防義務一般の記述と、兵役法上の男性への義務を区別している。全男性が例外なく同一の軍務に就くという意味ではない [17]
シンガポール・National Serviceの登録 兵役法に基づき、男性市民・男性永住者は16歳半から登録義務の対象になる 登録通知等に従わない場合の罰則を案内。就学による延期申請等もある。登録年齢は入隊年齢を意味しない [18]
米国・Selective Serviceの登録 原則として18~25歳の男性市民・男性移民に登録を義務付ける この出典が示すのは登録義務。登録した全員が直ちに徴兵・戦地派遣されるという事例としては扱わない [19]

シンガポールの中央人材局は、兵役通知や出頭命令への違反について、最高1万シンガポールドルの罰金、最高3年の拘禁、またはその両方という刑事罰を示す。任意の奉仕を奨励するだけの仕組みとは異なる。[18]

男性側の不利益を検討するには、義務の対象、延期・免除、代替役務、服務期間、就学・雇用への影響を個別に確認する必要がある。戦時の民間人も性別を問わず被害を受け得るため、男性に兵役義務があるという事実を、女性全体が戦争の危険から免れているという主張へ置き換えることはできない。

海難事故の救命優先順位――タイタニック号

1912年のタイタニック号沈没時には、救命艇への乗艇に女性と子供を優先する規範が適用された。ElinderとErixsonの2012年の論文は、この事故について、女性と子供の約70%が助かったのに対し、男性では約20%だったと記述する。これは女性と子供を一括した比較であり、女性だけの生存率と混同すべきではない。[20]

限られた救命設備への優先順位に性別が使われる場合、成人男性は女性より後順位となる。この点を「生存機会からの男性排除」として検討できる。ただし、男性の生存者も存在するため、男性全員に救命を認めなかったという意味ではない。また、子供の優先には男児も含まれる。

同論文は1852~2011年の18件の海難事故を調査し、女性の生存上の優位が統計的に認められたのはタイタニック号とバーケンヘッド号の2件で、11件では女性が不利、5件では明確な差がないと報告した。タイタニック号の事例を、あらゆる海難事故で一貫して男性が救助から排除されるという主張へ一般化することはできない。著者らは、船長による女性・子供優先の指示が、実際の優先行動に影響する可能性を指摘している。[20]

関連する論点――女子大学内の学会事務局

国際ジェンダー学会は、事務局の郵送先を和洋女子大学のジェンダー・ダイバーシティ研究所内として案内している。[15]

ただし、同学会の2026年6月30日改定会則は、女性学・男性学・ジェンダー研究の推進を目的・事業に含める。入会については会員2名の推薦と理事会の承認などを定めるが、確認した会則・細則に女性のみを会員とする規定はない。[16]

したがって、女子大学内に事務局があるという事実だけでは、男性が当該学会やジェンダー研究から排除されている根拠にはならない。大学の学生の入学資格、学会の会員資格、研究会・大会への参加資格、学内施設への立入り条件は別々の規則である。本例は、男性排除が確認された事例に含めるのではなく、所在地と参加資格を混同しないための関連情報として扱う。

政策の見出しに男性被害者が現れないこと――「女性に対する暴力の根絶」

政策の名称と実際の支援対象

内閣府男女共同参画局は、主な政策の一つとして「女性に対する暴力の根絶」というポータルを設けている。そこには、DV、性犯罪・性暴力、デートDV、ストーカー対策、相談窓口、調査研究などがまとめられ、広報啓発として「女性に対する暴力をなくす運動」も案内されている。[34]

この名称では、女性が保護すべき被害者として明示される一方、男性被害者は政策の見出しに登場しない。本項の観点では、これを「政策の見出しや広報における男性被害の可視性」の問題として検討できる。男性が暴力を受けたとき、自分もその窓口の対象だと認識できるか、という問いである。

ただし、同ポータルから移動できる「性犯罪・性暴力とは」のページは男性の性被害を取り上げ、男性も警察やワンストップ支援センターに相談できると説明している。したがって、確認されたのは「男性も含む支援情報が、女性を掲げる上位分類の下に置かれている」という構成であり、内閣府が男性への暴力を容認している、男性をすべての支援から外している、という事実ではない。[30][34]

検討する段階 資料で確認できる内容 ここから先の検証
政策の見出し 「女性に対する暴力の根絶」と明示 男性被害者にも対象だと伝わる広報になっているか
支援情報の本文 男性被害への説明と相談案内がある 男性が必要な案内へ到達しやすいか
実際のサービス このポータルの名称だけでは判断できない 男女別の受入条件、相談時間、避難先、対応実績を比較する

「女性」を冠することにより男性が相談を控えるという因果関係や、その影響の大きさは、ページの構成だけでは測定できない。男性の相談者への調査、広報の到達度、名称変更前後の利用状況などが必要になる。

男性被害者はどの程度いるのか

2025年版犯罪白書は、2024年の「生命・身体に被害をもたらした刑法犯」の被害者を、死亡者・重傷者・軽傷者の人員で集計している。総数は26,563人、うち女性は10,008人であり、差し引き男性は16,555人、約62.3%となる。[35]

2024年の区分 総数 女性 男性(総数から女性を差し引き)
死傷者計 26,563人 10,008人 16,555人
うち死亡者 681人 288人 393人
うち重傷者 2,883人 989人 1,894人
うち軽傷者 22,999人 8,731人 14,268人

出典の重傷は全治1か月以上、軽傷は全治1か月未満の負傷を指す。数値は白書の6-1-2-1図から転記し、男性欄は本項で差引計算した。女性比率37.7%は白書本文にも示されている。[35]

この統計からは、少なくとも刑法犯による死傷者について、男性が多数を占めることが確認できる。ただし、これをそのまま「暴力被害者全体の男女比」と呼ぶことはできない。けがを伴わない暴行や脅迫、心理的暴力、警察に把握されない被害まで含めた全体の人数ではなく、DVや性暴力に限った割合でもない。

したがって、「暴力被害者の半数は男性」という言い方を使うより、「2024年に刑法犯によって死亡・負傷した被害者の約62.3%は男性」と対象と年を明記する方が正確である。女性に多い特定の被害への重点対策と、男性も保護すべき被害者として広報に明示することは両立し得る。死傷者全体の男女比だけで個々の施策の予算配分の妥当性が決まるわけではないが、男性の被害を政策の説明から見えなくしない、という検討の根拠になる。

ケアの専門職への入口――助産師資格

保健師助産師看護師法第3条は、助産師を、免許を受けて助産や妊婦・産後の女性・新生児への保健指導を業とする「女子」と定義する。一方、第2条の保健師、第5条の看護師、第6条の准看護師の定義は「者」とされている。助産師資格には、他の看護資格とは異なる女性限定の条件がある。[33]

資格 法律の定義で用いられる表現 性別資格の比較
助産師 女子 男性は資格の対象外
保健師・看護師・准看護師 同じ女性限定の条件はない

この事例は、男性が女性の健康への理解を求められるだけでなく、その領域で専門性を身に付けてケアを職業とする道も開かれているか、という観点につながる。法律上は、助産師としての能力や本人の希望を評価する前に、性別が資格の範囲を区切っている。

個々の利用者が担当者の性別を希望することと、国家資格の入口で男性全体を対象外にすることは、区別して検討できる。利用者のプライバシーや担当者を選ぶ意思を尊重しながら、専門職への参入をどこまで制限する必要があるかが論点になる。本例が示すのは助産師資格の条件であり、男性が妊産婦や新生児に関わる医療・看護のすべてから排除されているという意味ではない。

父親と子供が一緒に暮らすための支援――母子生活支援施設

男性を育児の補助者や家計の支え手としてだけでなく、生活支援を受けながら子供を育てる当事者として想定しているか、という視点がある。母子生活支援施設は、住居だけでなく、親子が一緒に生活しながら相談・援助を受けられる仕組みである。[31][32]

全国母子生活支援施設協議会が掲げる児童福祉法第38条の対象は、配偶者のない女性またはこれに準ずる事情にある女性と、その女性が監護する児童である。同協議会は、原則として18歳未満の子供を育てる母子家庭などの女性が子供と一緒に利用できると説明している。父親が子供を養育する世帯は、この法定の入所対象に含まれていない。[32]

支援の要素 母子生活支援施設の役割 父子家庭について確認すべき差
同居できる住まい 親と子供が一緒に入所する 父親と子供が同居したまま利用できる代替先があるか
生活の立て直し 心身・生活の安定、自立に向けた相談・援助 単なる一時宿泊にとどまらず、生活支援が付いているか
支援の継続 退所後の相談その他の援助 住居を出た後も継続して支援を受けられるか

ここでの影響は父親だけで完結しない。同じように住居や養育上の支援を必要とする子供でも、養育する親が父親か母親かによって、利用できる親子単位の施設が変わる。この意味で、「男性の支援対象からの排除」と「父親に育てられる子供の支援機会」を併せて検討できる。

本例は、父子家庭に住宅支援や相談支援が一切ないことを示すものではない。また、母親と入所する男児まで対象外とする制度でもない。比較の中心は、大人の養育者が男性である場合にも、親子同居と生活支援を組み合わせた同等の選択肢が確保されているかである。

性暴力の被害者として認められること

刑法上の被害者の範囲

法務省の犯罪白書によれば、2017年7月施行の改正は、従来の強姦罪を、被害者の性別を問わず、性交に加えて肛門性交・口腔性交も対象とする強制性交等罪へ改めた。男性を、女性に対する加害者になり得る存在としてだけでなく、重大な性的侵害の被害者として同じ罪の保護対象に含める改正だった。[28]

これは、改正前の男性に対する性的加害がすべて適法だったという意味ではなく、どの罪で、どの範囲の被害を捉えるかという問題である。さらに2023年には不同意性交等罪への改正が行われたため、2017年当時の罪名・要件を現在の制度と混同しないことが必要である。[29]

男性の身体反応や抵抗力を理由とする被害の否定

法改正とは別に、男性が被害を訴えたときに、その経験自体が否定・矮小化される問題がある。内閣府男女共同参画局は、男性・男児は性被害に遭わない、男性なら抵抗できる、男性の被害は軽い、といった考えを誤った思い込みとして挙げている。また、勃起や射精などの身体反応は同意の証拠ではないと説明する。[30]

この問題を男性排除の観点から見ると、「助けを求める資格」の形式的な有無に加えて、助けを求める理由を信じてもらえるかが重要になる。男性であることや身体反応を理由に被害を否定すれば、その人は性的自己決定や苦痛を認められる対象から外されてしまう。男性の性的反応を、常に欲望や同意の表明だと扱わないことが中心的な論点である。

確認した内閣府の現行案内は、男性も警察やワンストップ支援センターへ相談できることを明記している。本例は、この窓口が男性を拒否しているという事例ではなく、公的啓発でも否定する必要があるとされる、男性被害に関する固定観念を扱うものである。[30]

男性自身の病気予防――HPVワクチンの公費対象

男性を、女性に感染させないための協力者としてだけでなく、自身の病気を予防する権利・利益を持つ当事者として扱っているか、という視点がある。HPVは子宮頸がんだけでなく、男性にも生じる肛門がんや陰茎がんなどにも関わるとされる。一方、厚生労働省が案内するHPVワクチンの定期接種対象は、小学6年から高校1年相当の女子である。[26][27]

男性の接種そのものが禁止されているわけではない。世田谷区は2024年10月から男性の任意接種への費用助成を開始し、2026年4月から9価ワクチンも対象とした。2026年度は、接種時に区内に住民登録がある小学6年から高校1年相当の男性が、区内の指定医療機関で接種する場合に全額公費負担となる。[26]

比較する制度 対象・仕組み 男性側から見た違い
国の制度としてのHPV定期接種 小学6年~高校1年相当の女子 同じ学齢の男子は、この定期接種の対象外
世田谷区の男性向け任意接種助成 区内在住の対象学齢の男性。指定医療機関等の条件あり 自治体独自の制度によって費用負担を補う

この差は、接種の医学的な可否、公費負担の資格、実施医療機関の範囲を分けて考える必要がある。全国制度の対象から外れることによって、男性の公費での接種機会が居住自治体の独自施策に左右される、という点が本例の論点である。男女の疾病負担や費用対効果を検討する際にも、男性自身の予防上の利益を評価に含めているかが問われる。上記の世田谷区の説明は、男性本人の病気予防とパートナーへの感染予防の両方に言及している。[26][27]

男性の傷つきの過小評価――外見の損傷に対する労災補償

男性の苦痛が軽く見積もられる問題は、単なる周囲の態度にとどまらず、かつての労災補償の等級に明示されていた。2010年5月27日の京都地裁判決が扱った当時の制度では、頭部・顔面・頸部の外見に残る傷について、次の性別差があった。「醜状」は法令・認定基準上の用語である。[25]

改正前の障害区分 男性 女性
外貌に著しい醜状を残すもの 第12級。給付基礎日額156日分の一時金 第7級。障害がある期間、1年につき給付基礎日額131日分の年金
外貌に醜状を残すもの 第14級 第12級

男性についても顔面のほとんど全域に及ぶ特に重い瘢痕には第7級を準用する扱いがあったため、あらゆる傷で男女差があったわけではない。問題は、その特例に届かない傷では男性の補償が低く設定されていたことである。[25]

裁判で国側は、女性の方が外見への関心が高く、外見の損傷による精神的苦痛や就労上の不利益が大きいなどと主張した。京都地裁は、男性や外見への関心が低い人も大きな精神的苦痛を受け得ることを指摘したうえで、当該の大きな等級差を合理的に説明する根拠は認められないと判断した。該当部分を憲法14条1項に違反するとし、男性原告への処分を取り消した。[25]

2011年2月1日の厚生労働省通知では、外貌の損傷を性別によらず、著しいものは第7級、相当程度は第9級、それ以外の該当するものは第12級とする基準が示された。したがって、本例は改正前の差を扱う歴史的事例である。[24]

本例を「男性排除」という観点で捉えると、男性が補償制度全体から締め出されたのではなく、同程度の傷に対する手厚い保障や、苦痛を同等に重く扱われる機会から外されていたと整理できる。「男性は外見を気にしないはず」という集団への想定で、傷を負った個人の苦痛を低く評価していないか、という検討につながる。

相互理解の「受け手」になれるか――生理痛体験研修

関連項目:男性管理職への生理体験会(東京都)

男性が相手の事情を理解する役割を担う一方、男性自身の苦痛を聞き取る仕組みが設けられないなら、男性は相互理解の受け手から外れてしまう。この観点では、施設への入場資格だけでなく、誰の苦痛を研修の議題にするか、誰に配慮を求め、誰に配慮を提供するかを検討対象にできる。ただし、これは本項の分析視点であり、以下の研修で男性排除や強制が確認されたという意味ではない。

東京都の「働く女性のウェルネス向上委員会」が紹介したアドフレックス・コミュニケーションズの事例では、生理痛体験研修に男性24名と女性5名が任意参加した。女性の健康課題への理解を目的とし、研修後には生理休暇の時間単位取得や生理用品の無償支給などへつながったとされる。同じ記事は、性別を限定しないスーパーフレックス制度も紹介している。[22]

装置の提供元である大阪ヒートクールは、性別を問わず希望者だけを対象とし、事前の説明と署名による同意を得ること、体験者の意思でいつでも刺激を停止できることを明示している。女性同士の痛みの違いを理解することも目的に含み、生理痛以外の持病や疾患を持つ人が働きやすい職場を考えるワークショップも案内している。[23]

したがって、この二つの資料は「男性だけに強制される研修」の証拠にはならない。一方、制度上は任意でも、職場の実際の運用が任意であるかは別途確認すべき問題である。男性が相互理解や身体への自己決定から外されていないかは、次のように具体化できる。

検討する点 男性側の経験を調べるための確認事項
断る自由 不参加や途中中止によって、評価が下がる、叱責される、協調性がないと扱われることがないか
痛みの訴えの扱い 男性が痛がる様子を笑いの対象にしたり、強度を上げるよう促したりしていないか
理解の双方向性 男性自身の不調や負担についても、匿名の意見収集、相談、勤務上の配慮につながる経路があるか
研修後の評価 女性への理解が進んだかだけでなく、参加者の身体的負担や不快な経験も確認しているか

相互理解の双方向性は、女性にも別の痛みを与えることでしか確保できないわけではない。男性の苦痛にも聞き取りと支援を用意し、理解する側と理解される側を性別で固定しないことが検討の中心となる。「女性は男性の大変さを知ろうとしない」という女性全体の意識の断定とは区別する必要がある。

起業支援で優遇の対象とされること――年齢と性別の組合せ

日本政策金融公庫の国民生活事業は、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人のうち、女性、35歳未満の人、55歳以上の人を『新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)』の対象としている。原則として特別利率Aが適用される一方、土地にかかる資金は基準利率となる。事業計画の審査もあり、対象属性に該当すれば必ず融資される制度ではない。[36]

年齢区分 女性 男性 比較の意味
35歳未満 女性・年齢の条件に該当 年齢条件に該当 この区分では男女とも対象になり得る
35歳以上55歳未満 女性という条件で該当 この性別・年齢条件には該当しない 同年代で当該優遇への入口が異なる
55歳以上 女性・年齢の条件に該当 年齢条件に該当 この区分では男女とも対象になり得る

中小企業基盤整備機構の2026年2月更新の解説は、女性・若者・シニアの資金調達上の困難を背景として挙げ、特別利率Aを基準利率から0.4ポイント引き下げるものと説明している。ただし、金利の具体的水準や適用条件は変わるため、個別の借入れについて一律の金額差を示すことはできない。[37]

この事例の論点は、男性がいつでも一括して排除されるのではなく、年齢と性別の組合せによって、支援が必要な起業者として優遇される資格が変わる点にある。例えば、他の条件が同じ40歳の男女を比較すると、女性は性別による入口を利用できるが、男性はこの入口を利用できない。本人の所得、担保、離職歴、介護負担などを測る前に、性別が当該優遇の条件になる。35歳から54歳の男性にも資金調達が困難な人は存在し得るため、集団単位の是正策と、個人の困難を拾う仕組みとの関係を検討できる。

これは35~54歳の男性が公庫の融資全体から排除されるという事例ではない。公庫は幅広い創業者を支援する制度も案内しており、技術の新規性などによる別の優遇要件もある。問うべき対象は、融資の可否全体ではなく、同じ事業・年齢の比較で、性別だけによって追加的な優遇へ到達できるかである。[36]

子供を養育していない死別男性への税制上の支援――寡婦控除

所得税の寡婦控除は、2020年分以後の制度でも27万円の所得控除として残っている。国税庁の2026年4月1日現在の法令等に基づく案内では、ひとり親に該当しない人のうち、夫と死別後に婚姻していないなどの条件を満たし、合計所得金額が500万円以下の人は、扶養親族がいなくても対象になり得る。夫と離婚した場合には、扶養親族がいることも条件になる。事実婚に当たる一定の相手がいる場合は対象外である。[38]

一方、2020年分からのひとり親控除は、婚姻していないことなどに加え、所定の所得条件を満たす生計を一にする子がいる人に対する男女共通の35万円の所得控除である。本人の合計所得金額500万円以下などの要件がある。[39]

比較する状況 女性 男性 性別差の位置
所定の子を養育するひとり親 要件を満たせば35万円のひとり親控除 要件を満たせば同じ控除 この控除は男女共通
配偶者と死別後、再婚せず、扶養親族も対象となる子もいない その他の要件を満たせば27万円の寡婦控除 同じ死別状態による寡婦控除はない 子の養育とは別の死別者向け支援に差が残る
離婚後、再婚せず、子以外の扶養親族がいる その他の要件を満たせば寡婦控除 寡婦控除の対象ではない 扶養する親族の種類と性別の組合せで差が生じる

表の27万円・35万円は、税額そのものの減額や現金給付ではなく、所得から差し引く金額である。実際の税負担への影響は所得や他の控除等で異なる。対象となる子の所得条件にも適用年・施行時期による改正があるため、個々の申告についてはその年の条件を確認する必要がある。[38][39]

この事例は、男性が養育者として支援を受けられるかだけでなく、子供の有無にかかわらず、配偶者を失った生活者として支援の対象にされるかという視点を与える。男女共通のひとり親控除があることは、死別者向け税制のすべての性別差が解消されたことを意味しない。男性本人の所得が少なく、同じように単身生活へ移行していても、寡婦控除と同じ性別条件の優遇は受けられない。これは遺族年金の資格とは別の税制上の差であり、両制度を混同せず、重なり合う条件を検討できる。

政策の成果として数えられること――SDGsの指標の対象範囲

男性の不利益は、施設に入れないことだけでなく、ある政策の改善を測る数字に男性の経験が含まれるかという問題として検討できる。国連統計部が公開するSDGsの指標定義では、目標5に女性・女子を対象とする指標と、男女を含む指標が併存している。[40]

指標 定義上の主な対象・測定内容 男性の経験が入るか
5.2.1 パートナーを持ったことのある15歳以上の女性・女子が、現在または過去の親密なパートナーから過去12か月に受けた身体的・性的・心理的暴力 この指標の対象ではない
5.2.2 15歳以上の女性・女子が、親密なパートナー以外から過去12か月に受けた性暴力 この指標の対象ではない
5.3.1 20~24歳の女性のうち、15歳未満・18歳未満で婚姻または結合関係に入った割合 男子の児童婚はこの指標に入らない
5.6.1 15~49歳の女性が、性的関係、避妊、性と生殖に関する保健について、自ら情報に基づき決定する割合 男性の自己決定はこの指標の対象ではない
5.4.1 無償の家事・ケアに費やす時間を性別・年齢・場所別に測定 男性を一律に外す定義ではない
5.6.2 15歳以上の女性と男性に、性と生殖に関する保健・情報・教育への十分で平等なアクセスを保障する法令を持つ国の数 男性を明示的に含む
16.1.3 人口のうち過去12か月に身体的・心理的・性的暴力を受けた割合 女性限定の定義ではない
16.2.3 18~29歳の女性と男性のうち、18歳までに性暴力を経験した割合 男性を明示的に含む

ここで確認できるのは、特定の指標の集計対象からの除外である。男性の被害が増減しても、それだけでは女性限定指標の値は変わらない。そのため、女性限定指標だけを『ジェンダーに関する暴力全体の改善』の評価に代用すると、男性側で起きた変化を把握できない。これは指標の定義から導かれる測定上の限界であり、国連が男性被害の存在を否定しているという事実ではない。

指標の対象外であること、調査そのものが行われないこと、支援資格がないことは別々である。 男性も含む目標16の指標が存在するため、『SDGsは男性の被害を一切数えない』という一般化は成り立たない。検討すべきなのは、ある機関が女性限定の指標だけを採用していないか、男性も含む指標や独自の補足調査を併用しているか、という実際の評価設計である。[40]

男子の児童婚――『養う側』になることも保護の課題

児童婚は、この測定範囲の問題を具体化する。UNICEFは2019年の発表で、子供のときに結婚した経験のある男性・男児を世界で推計1億1,500万人、そのうち15歳未満で結婚した人を2,300万人とした。これは82か国のデータ等に基づく当時の推計であり、年間の発生件数や2026年現在の人数ではない。同じ発表は女子における児童婚の方が多いことも明示する。[41]

UNICEFは、早婚した男子が準備のできていない大人の責任や早期の父親役割を負い、家族を扶養する圧力によって教育・仕事の機会が狭まると説明した。また、女子の児童婚に比べ男子に関する研究が少ないと指摘した。[41]

この事例での視点は、男子を将来の家計負担者として扱うこと自体が、まだ子供でいる権利、学び続ける機会、支援を受ける立場を狭め得るという点にある。女性・女子向けの児童婚指標5.3.1は重要な被害を捉える一方、その数字から男子の児童婚の増減を読み取ることはできない。UNICEF自身が男子の調査を公表していることは、指標の対象外と研究の完全な不存在を区別する具体例でもある。[40][41]

男性の外見と身体への意思を尊重すること――受刑者の調髪

関連項目:刑務所の男女差(日本)

大阪弁護士会は2024年3月8日、男性受刑者の髪型を原則として『原型刈り』または『前五分刈り』に限る訓令について、本人の意思に反して強制しないよう改めることを勧告した。同会の説明では、前者は頭髪全体を約0.2センチメートル、後者は約1.6センチメートル程度に刈る方法である。一方、女性受刑者については華美を避け清楚な髪型にするという基準で、一定の選択の余地が認められていた。[42]

この申立ての当事者は、戸籍上は男性で、女性としての性自認を持つ人である。当事者の性自認を男性と記述することは適切でない。そのうえで、同会の勧告理由は当事者固有の苦痛だけでなく、男性受刑者全般について女性と同程度の髪型の自由を認めても、規律・秩序や矯正処遇が妨げられるとは認められないと論じている。[42]

ここでは、男性として分類された人の外見への意思が、保護すべき自尊心として扱われるかが論点となる。男性の髪は短く刈っても本人にとって重大ではない、という前提で自由の範囲に差を付けていないかを検討できる。受刑者に制約があることと、その制約が男女で異なる必要があることは別の問いである。

ただし、これは弁護士会の人権救済勧告であり、裁判所の確定判決ではない。同ページに掲載された2024年8月20日の法務省側回答は、法令に基づき適正に実施されているとの認識から特段の対処をしていない、というものである。したがって、勧告が出たことを、その規定が撤廃された事実として扱うことはできない。[42]

義務があることと、身体を押さえて実施できることの違い

法務省の2026年5月14日の不服審査調査検討会議事要旨には、ひげそりを拒む受刑者の身体を職員が押さえて実施した事例について、2名の委員が付した意見が掲載されている。委員らは、法がひげそりを義務付けていても、身体的な直接強制を明示的に認める規定ではないとし、当該事例には強制の必要性が認め難く、全裸のまま実施した態様にも相当性がないと述べた。[43]

検討会全体の結論は『法務省意見相当』であり、2名の意見を検討会全体や裁判所の判断へ置き換えてはならない。また、議事要旨は、全国の刑事施設への注意喚起や実施要領の見直しを含む運用改善の指導文書が発出されたことも記す。[43]

この関連事例だけで男女間の運用差を測ることはできないが、髪型の性別差を検討する際には、制限の文言だけでなく、本人が拒否したときの扱い、実施時の身体的負担、羞恥や尊厳への配慮まで確認する必要があることを示す。身体に関する規則の存在と、そのために許される強制の範囲を分けて考える視点である。

支える人である前に、喪失を経験した当事者であること――流産・死産などと男性の悲嘆

妊娠・出産に伴う子供の喪失では、男性も子供を失った当事者である。しかし、女性パートナーを支える役割が強調されると、男性自身の悲嘆や支援の必要性が見えにくくなる。ここで問うのは、男性が「支える側」に位置づけられることによって、「支えられる側」として認められにくくなる可能性である。

2020年のシステマティックレビューは、流産、死産、胎児の重篤な異常に伴う妊娠中絶、新生児死亡などを経験した男性に関する46論文を検討した。支える役割を優先して自分の悲嘆を抑える経験、強くあろうとする圧力、医療者からパートナーの付き添いとして扱われる経験などが報告された。一方、支える役割に意味を見いだした男性や、医療者から適切な配慮を受けた男性もいた。[44]

検討する場面 男性の経験が見えにくくなる仕組み 記事上の確認点
医療機関での説明・声かけ 女性への説明だけで完結し、男性自身が何を失い、何を知りたいかが確認されない 妊娠した本人への医療上の説明と、家族への悲嘆支援を分ける
家庭内での役割 相手を支えるため、自分の悲しみを後回しにする 支えること自体を否定せず、双方が支援を受けられるかを見る
周囲からの承認 男性に強さや平静さが期待され、悲嘆が当事者のものとして扱われにくい 男性全員が同じ感情表現・支援方法を望むと決めつけない
支援の評価 支援者として役立ったかだけで評価し、男性自身の回復を問わない 男性本人への説明、意思確認、継続的な連絡などを検討する

これは、日本の医療機関の何割が男性を排除しているという調査ではない。収録研究は高所得国に限られ、女性パートナーを持つ異性愛男性を主な対象とし、質的研究も多い。研究で報告された経験と、日本での現在の普及率は区別する。また、女性パートナーを主要な支えとした男性も報告されており、「女性は男性の苦しみを理解しようとしない」という一括した説明は、この研究からは導けない。[44]

日本のこども家庭庁も、流産・死産等を経験した人への相談先を案内し、働く女性については産後の就業制限や母性健康管理を説明している。妊娠した人の身体的回復に必要な保護と、子供を失った男性への悲嘆支援は、目的が異なる。前者の存在だけを男性排除とするよりも、後者にも説明・相談・休息の機会が届いているかを調べる方が、問題を具体化できる。[45]

被害が数えられていても、代表的な被害名から外れること――性暴力統計の分類

米国疾病予防管理センター(CDC)は、全国親密なパートナー・性暴力調査(NISVS)について、「rape」と「made to penetrate」を別の概念として測定すると説明している。後者は、本人の同意なしに他者への性的挿入を強いられる被害などを指す。CDCは両者を性暴力に含め、異なる結果をもたらす可能性のある別種の暴力として扱う理由を示している。[46]

CDCの分類 分類上の着眼点 男性被害を読む際の注意
rape 被害者への望まない挿入、またはその未遂。身体的な力、酩酊・薬物等による同意不能を含む 男性被害者も含まれるが、すべての非同意の挿入を伴う行為がこの欄に集約されるわけではない
made to penetrate 同意なしに他者へ挿入するよう強いられること、またはその未遂。同じく力や同意不能を含む 被害者自身が挿入する側でも、同意がなければ被害になり得る
contact sexual violence 上の二つ、性的強要、望まない性的接触を含む上位分類 性暴力全体を比較する際には、どの範囲の指標かを確認する

CDCの2024年5月16日付解説は、生涯に他者への挿入を強いられた男性を約14人に1人、rapeの既遂・未遂を経験した男性を38人に1人超と紹介する。これは同ページが紹介する米国の調査推計であり、日本の発生率や2026年の年間被害率ではない。同一人物が複数の被害を経験する可能性があるため、単純に足して被害者総数を計算することもできない。[46]

本項の論点は、被害そのものを調べていることと、社会で代表的に使われる一つの被害名に含めていることは別である、という点にある。男性被害を検討する場合、統計の名称だけを拾うと、一部の経験が比較の枠から落ちる。これはCDCが男性の性被害を一切認めていないという事例ではなく、統計を紹介する側の指標選択によって男性被害が見えにくくなる可能性の検討である。日本の刑法上の罪名・要件とも同一視しない。[46]

病気になる可能性と、予防費用の補助対象になること――骨粗鬆症検診

骨粗鬆症は女性だけに生じる病気ではない。米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)は、女性に多い一方で高齢男性にも生じること、男性は骨折後に骨粗鬆症の評価や治療を受ける可能性が女性より低いことを説明している。これは米国の医療情報としての説明であり、日本の男女別受診率そのものではない。[48]

協会けんぽは2026年度に骨粗鬆症検診を追加したが、被保険者向けの補助対象を、一般健診・節目健診を受ける40~74歳の偶数年齢の女性としている。男性被保険者は、この性別条件を満たさない。一方、男女を対象とする自治体の検診もある。[47][49]

制度・実施主体 確認した対象 男性の扱い・自己負担等
協会けんぽ・被保険者向け骨粗鬆症検診(2026年度) 一般健診・節目健診を受診する40~74歳の偶数年齢の女性 男性は当該補助の対象外。対象者の自己負担は最高1,390円。単独受診はできない
茨木市・骨粗しょう症検診(2026年度) 18歳以上の市民。妊娠中は対象外 男性も対象。問診・腕のX線による骨塩量測定。1,000円、70歳以上や一定の低所得者等には免除条件がある

出典:[47][49]。医療保険者の制度と自治体の制度では、対象集団や検査内容などが異なるため、費用だけをそのまま比較するものではない。

男性への不利益として確認できるのは、当該の予防検診補助を性別条件により利用できないことである。「男性は骨粗鬆症の検査や治療を受けられない」「日本の自治体はすべて男性を除外している」という意味ではない。[47][49]

対象条件の妥当性を検討する際には、発症リスクの男女差と、集団検診によって得られる利益・不利益の証拠も必要になる。NIAMSの2023年の解説は、男性の定期的なDXA検査を勧告するには証拠が十分でないという米国予防医療専門委員会の評価も紹介している。したがって、対象に男女差があることだけで医学的な不合理を確定することはできない。[48]

独自の検討視点は、「女性に多い病気」として設計された予防制度の中で、少数側の患者となり得る男性が、年齢・骨折歴など自身のリスクに応じて予防や評価へつながる経路を持つか、という点にある。男性向けの診療案内があることと、検診補助にも対象として含まれることを分けて検討する必要がある。

授業料だけでなく、人とのつながりや経験を得る機会――女子学生向け奨学金

大学の入学枠に加え、入学後の奨学金や企業との交流機会にも性別条件を設ける事例がある。ソニーの「SONY STEAM GIRLS EXPERIENCE」は、理工系女子学生への給付型奨学金と、女子中高生へ理工系の面白さを伝える活動を組み合わせた制度である。同社は、理工系分野における女子学生の少なさや、進路・キャリア選択の障壁を課題として説明している。[50]

2026年度募集で確認した条件

項目 内容
学年・分野 国内大学の理工系等の1年次、または高専から編入した3年次。国内居住等の条件がある
性別 性自認、または戸籍上の性別が女性であること
採用予定数 10名
給付 授業料相当額、年最大120万円。返済不要
給付期間 学士課程から修士課程まで、募集要項上は最長6年間。毎年の資格審査等がある
家計 FAQは、親の年収などに特段の制限・条件はないとする
他の奨学金 他奨学金・奨学助成金の受給について応募条件・併用制限を設けている
金銭以外の機会 女性エンジニア等との交流、社内イベント・一般非公開ショールーム等の体験、次世代への発信活動
就職との関係 卒業後のソニーグループへの入社義務はない
確認時の状況 2026年度募集は終了。対象・条件を示す事例として記載

出典:[50]。最大額・最長期間がすべての学生に無条件で適用される制度ではない。

性自認と戸籍上の性別のどちらも男性である学生は、この制度の性別条件を満たさない。一方、戸籍上の性別だけを基準とする女性限定制度ではないため、その点も正確に記載する必要がある。[50]

この事例では、対象外となる資源を授業料だけに限定すると、論点を狭く捉えることになる。技術者から進路の実情を聞く機会、通常は入れない場所で技術を体験する機会、活動を企画・発表して経験を積む機会も、同じ選抜と結び付けられている。本項では、これを「資金・人とのつながり・経験を一体として得る機会の性別条件」という視点から捉える。

また、親の年収制限がない以上、この制度への応募資格は家計の苦しさだけでは決まらない。女子学生の少なさを改善する目的と、経済的に困窮する学生を性別を問わず支援する目的は、区別して評価できる。ただし、この一制度からソニーのすべての教育支援が男性を対象外にしていることや、男性の就職が不利になることまで実証したわけではない。[50]

特定の大学に所属し、指導と学位を得る機会――女子大学の受入れ区分

女子大学の性別条件を検討する際、大学への立入り、授業の履修、正規学生としての所属、学位の取得を一つにまとめると、制限の実態を取り違える。大学院では男性を受け入れる女子大学もあり、大学ごと、課程ごとの確認が必要である。[51][52]

大学・確認した公式説明 男性の正規入学について 併記すべき受入れ・例外
お茶の水女子大学・日本語教育コースの「Q&A 入学審査について」(2021年9月15日更新) 男性は正規学生として入学できず、学士・修士・課程博士の学位を取得できないと説明。聴講生、学部の科目等履修生・研究生も女性に限定すると説明 単位互換協定による他大学からの交換学生は男女を問わず学部・大学院の授業に出られる。論文提出と審査による論文博士号も男性が取得可能と説明
共立女子大学・家政学研究科の案内(2026年9月18日閲覧) 学部学生は女子のみとする一方、大学院には男性も入学できると明記 家政学研究科の案内には被服、食物、建築・デザイン、児童、人間生活の研究分野が示される。女子大学にある家政学研究だから男性は参加不能、とはいえない

出典:[51][52]。お茶の水女子大学の行は2021年更新のFAQの説明を整理したものであり、各年度の最新募集要項を全件照合したものではない。出願条件の運用や性別の扱いは最新の募集要項等で確認する必要がある。

男性が他の共学大学へ進学できることは、特定の大学の課程へ出願できないことを解消しない。大学が持つ研究分野、指導教員、教育課程の組合せを希望する男性にとっては、その組合せを正規学生として選べるかが問題となる。大学教育一般を受ける権利と、特定の教育・研究環境への応募機会を区別することが、本項の検討視点である。

また、単位互換で授業に参加できることは、当該大学で正規課程を修了し学位を得ることと同じではない。一方で、正規入学が制限されることから、男性教員、共同研究者、学会参加者まで一律に排除されていると推定することもできない。女子大学内の学会事務局の所在地を、その学会の会員資格と混同しないことにも通じる。

なお、女子大学の存在だけから、世界のどこにも男子大学がないとは結論できない。本項では今回確認した女子大学の具体的な受入れ条件を扱い、日本国内外の男子大学の有無や大学数の比較は、別途検証すべき事項として残す。

事情を評価してもらう前に、応募資格を満たせないこと――女性限定の教員公募

女性限定の教員公募では、男性は業績や経験の比較に進む前の応募資格の段階で対象外になる。「同等の業績なら女性を優先する」という選考方法と、「女性しか応募できない」という募集方法は、男性の参加可能性が異なる。

確認した公募例

公募主体・職 性別条件等 確認した募集時期・内容
名古屋大学大学院環境学研究科・地球環境科学専攻地球環境システム学講座 教授または准教授、女性限定、1名 締切2026年11月2日。環境保全学、社会経済農学、森林圏科学、地球惑星科学を専門分野として案内
名古屋大学学生支援本部学生相談センター関係の助教・精神科医 女性限定、1名。任期なし 2026年9月2日~10月16日募集、2027年4月1日採用予定。学生のメンタルヘルス相談、研究・教育、運営業務

出典:[53][54]。これは確認した個別公募の一覧であり、同大学のすべての教員採用が女性限定であるという意味ではない。

学生相談センターの公募は、女性教員の割合が少ないことに加え、性、月経・PMS、性被害などの相談で女子学生が同性の精神科医を希望する傾向を理由として挙げる。また、男女雇用機会均等法第8条に基づく女性の参画拡大のための公募だと説明する。これらは募集主体が公表した理由であり、男性の応募制限という事実と併せて記録する。[54]

研究中断への配慮と、性別による入口の条件

同じ公募には、出産・育児・介護・病気などで研究活動を中断・遅延した期間を履歴書に記載でき、その記載によって不当な評価を受けることはない、との説明がある。[54]

ここには、次の二つの段階がある。

  1. 選考に参加できるか:当該公募は女性を対象とする。
  2. 参加者の事情をどう評価するか:育児、介護、病気等による研究中断を考慮する。

したがって、育児、介護、病気等で研究を中断した男性がいても、その共通する事情によって当該公募の性別条件を満たすことにはならない。これは男性応募者の実際の不採用事例を調査した結果ではなく、公表された条件の組合せから導かれる分析である。[54]

この切り口では、女性研究者の少なさへの対策と、個々の研究者のケア負担や病気への配慮を、異なる目的として評価できる。「研究中断に配慮する制度がある」という説明だけでは、その選考から外れる男性の状況までは説明できない。一方、公募に女性限定の条件があることだけで、同大学が男性の研究中断に一切配慮しない、あるいは男性学生の相談を拒否する、と結論することもできない。

男性側の不利が減点されない採点方法――ジェンダーギャップ指数

世界経済フォーラム(WEF)の『Global Gender Gap Report 2026』は、経済、教育、健康、政治の4分野で男女の状況を比較する。公式説明は、各指標について女性の値を男性の値で割り、原則として比率が1を超えた場合は1に切り詰めるとする。2026年版も、2006年導入の方法論との連続性を維持していると説明する。[55]

女性優位を「男女同等」と同点にする非対称性

原則的な指標の処理は、概念的には 採点に用いる比率=min(女性の値÷男性の値, 1) と表せる。以下は計算方法を示す架空の例であり、実在国の数値や総合得点ではない。健康分野の特別な基準値などを含む全指標に、そのまま適用する式ではない。[55]

架空の指標値 女性÷男性 上限処理後 読み取れること
女性40、男性80 0.50 0.50 女性側の不利は得点を下げる
女性80、男性80 1.00 1.00 同等の値は上限に達する
女性80、男性40 2.00 1.00 男女を逆転させた同じ大きさの差でも、男性側の不利では得点を下げない
女性80、男性20 4.00 1.00 男性の値がさらに下がっても、この処理後の得点は変わらない

この意味で、「女性優位でも高い得点になる」という指摘には、方法論上の根拠がある。ただし、女性優位を男女同等より高く評価する追加点が付く、という説明は正確ではない。女性優位と男女同等を、同じ上限値にまとめるのが中心的な問題である。数値上の女性優位だけから、その国や分野に女性による支配・男性差別の意図があると認定することもできない。

また、女性40・男性80の状態から女性40・男性40になる場合、女性の値が改善しなくても、比率は0.5から1へ上がる。逆に、女性80・男性40から女性80・男性80へ男性側が改善しても、上限処理後は1のままである。これは算式から導かれる例であり、WEFが男性の状況悪化を政策として推奨しているという意味ではない。

男性の教育上の不利は、同じ指標の「未達成の格差」にならない

2026年版は、高等教育への在籍について、対象145か国・地域のうち111で男女同等または女性の方が多いと説明する。したがって、上限処理は単なる非現実的な想定だけに関わるものではない。ただし、この111には男女同等のケースも含まれ、すべてで男性が劣位という件数ではない。[55]

男性の教育上の不利も含めた対称的な格差を把握したい場合には、上限処理前の男女別数値や比率も読む必要がある。女性側の遅れがどれだけ解消されたかを示す得点と、男女どちらの不利も同じように検出する得点は、同じものではない。 本項では、男性の課題が議論のための代表的な数字に反映されにくくなる事例として位置付ける。

健康分野では「同じ値」が基準ではない

同報告書は、出生時の男女比について女性/男性0.944、健康寿命について女性/男性1.06を基準として説明している。特に健康寿命は、女性が男性より6%長い水準を比較の基準に置くため、男女の健康寿命が完全に同じであることと、この指標で基準に達することは異なる。[55]

この6%は、男女の平均寿命の実測差、男性が短命であるべきだという倫理的主張、すべての国にそのまま当てはまる生物学的事実を意味しない。指標が採用する評価基準である。健康寿命と平均寿命も別の量であるため、本項の老齢年金に関する議論とはそのまま接続しない。

本例で問うのは、評価対象となる数値が存在しないことではなく、何を問題のある格差として得点に反映するかを決める段階で、男性側の不利がどのように扱われるかである。高い総合順位だけで、男性も含むすべての人の平等や権利保障が達成されていると判断することはできない。

ジェンダー研究団体の役員構成――公表人数からみる意思決定の偏り

ジェンダーを論じる学会については、女性の少ない他分野に男女の代表性を求めるのと同様に、その学会自身の意思決定にも多様な当事者が参加できているか、という問題を立てることができる。日本学術会議の「学会名鑑」には、団体が自ら更新する役員数の男女別情報が掲載されている。[56][57][58][59][60][61][62]

団体 役員総数 男性 女性 その他 女性比率
日本ジェンダー学会 18 6 12 0 66.7%
ジェンダー史学会 30 6 24 0 80.0%
ジェンダー法学会 34 8 26 0 76.5%
日本女性学会 14 2 11 1 78.6%
国際ジェンダー学会 14 未掲載 未掲載 0 算出できない
日本スポーツとジェンダー学会 23 未掲載 未掲載 未掲載 算出できない

出典は順に[56][58][59][60][57][61]。2026年9月18日に閲覧した掲載値であり、各ページの人数欄で集計基準年を確認できないため、2026年度の現任役員数とは断定しない。比率は女性数を役員総数で割り、小数第1位に丸めた独自計算。「その他」も分母に含む。未掲載を0人とは扱っていない。また、掲載項目は「役員」であり、すべてを「理事」と言い換えることはできない。

男女別内訳を確認できた4学会では、いずれも女性が役員の3分の2以上を占め、男性は少数である。ただし、この6団体はジェンダー・女性学に関わる団体を取り上げた事例比較であり、全学界の代表標本ではない。また、これらの掲載ページには会員全体の男女別内訳がないため、男性会員の割合に比べて男性役員が少ないか、立候補・選出過程に性別制限があるかまでは、この表から判断できない。

「議論の場からの排除」という観点で問うべきなのは、人数だけでなく、少数側が議題を提案できるか、役員や査読者になれるか、男性の被害・困難を研究課題として扱えるか、という実際の権限である。人数の偏りはその検討の出発点となるが、男性を一律に参加禁止にしている証拠ではない。日本ジェンダー学会の設立趣旨は男性学研究者の参加と男女共同の研究を明記しており、日本女性学会にも男性役員が掲載されている。[56][60]

選考規則について、ジェンダー法学会の公表規程は、選挙で理事20人を選び、さらに推薦理事10人程度を選ぶ構成としている。推薦時には専門分野・年齢・性別等のバランスを考慮すると定め、性別の均衡に配慮する条文自体は存在する。確認した規程には女性限定の役員資格はない。したがって、上の女性比率を「男性は理事になれない」という意味で紹介するのは不正確である。[63]

論点としては、男女の人数の偏りを問題にする組織に対し、自らの運営についても同じ基準で構成・選考方法・議題設定の機会を公開することを求められるか、という対称性の検証が挙げられる。他分野への要求との不一致を断定するには、各学会が実際に表明した数値目標や役員選考規則との照合がさらに必要である。

市長に直接質問する席の女性限定――男女共同参画事業としての女性議会

鹿沼市は、女性リーダーの育成と男女共同参画意識の向上を目的として「女性議会」という模擬議会を実施している。2026年の募集では、市内在住・在勤・在学の女性から10人以内の模擬議員を選び、2027年2月6日に市議会本会議場で、市長以下の市幹部が質問に答える計画を示した。男性はこの募集の模擬議員の対象に含まれない。[64]

これは単に女性を題材にした講演ではなく、一般市民に質問・意見表明の席を割り当て、市側の正式な応答を得る機会を性別で区切る事例である。前回の2023年11月1日の開催報告では、10人の女性議員が「女性の地位向上」や少子化対策に加え、防災や通学路の整備についても市長に質問・要望したとされる。女性固有の身体経験だけに限定された議題ではない。[65]

ここからは、男女共同参画について話す市民の育成・登用段階で、男性の一般市民が対象から外れるという論点が生じる。たとえば同じ防災上の困難を抱える住民でも、この事業の質問者となれるかは性別によって異なる。ただし、男性の傍聴を禁止したという資料ではなく、通常の市議会への立候補・請願など、他の市政参加経路が男性に閉ざされていることを示すものでもない。模擬議会を、条例や予算を議決する通常の議会と混同してはならない。

女性の政治参画を促すという実施目的を踏まえたうえで検討できるのは、女性向けの育成枠と、性別を問わず未経験の市民が提案する枠をどのように組み合わせるか、という設計である。とりわけ「男性が政治を支配している」という集団単位の議論から、政治的発言力の乏しい個々の男性まで支援不要と扱われるなら、集団間の格差是正と個人の参加機会が食い違う。本事例はその検討材料となる。2026年9月18日時点で、2027年分は募集・開催予定を確認した段階であり、開催実績としては扱わない。

聴講できても育成人材にはなれない――公開講演と女性限定の継続講座

関連項目:小田原市男女共同参画セミナー(2026年)

埼玉県男女共同参画推進センター「With You さいたま」は、2026年度に全7回の「女性リーダー育成講座」を開講し、対象を地域・社会活動への意欲がある県内在住・在勤・在学の女性、定員を30人、参加費を無料としている。講義に加えてワークショップ、交流、活動計画の発表、修了式を組み合わせ、地域で活動する人材とネットワークを育てる事業である。[66]

この事業の特徴は、一般公開される講演と、女性を受講対象とする継続的な育成枠が重なっていることにある。

同じ事業日程にある機会 公表された対象・内容
2026年9月19日の公開講演「こどもも大人も幸せになるためのジェンダー教育―学校と社会の男性性を問い直す」 対象は「どなたでも」、定員120人。男性も聴講対象に含まれる
女性リーダー育成講座の第4回 上記公開講演にワークショップを組み合わせた日程。育成講座全体の募集対象は女性
第3回の男女共同参画基礎講座・交流会 育成講座のカリキュラムに位置づけられる
第7回の活動支援 起業、リーダー、地域活動について学び、活動計画を発表する構成

出典:[66][67]。第4回以降は2026年9月18日時点の開催予定。

したがって、「男性性を話題にする講演から男性を締め出した」と書くのは誤りである。一方で、男性が公開講演の参加者になれることと、継続して議論し、活動について助言を受け、仲間をつくる育成事業の受講生になれることは同じではない。女性向けの育成枠に男性が応募できない、という限定された機会の差は募集条件から確認できる。[66][67]

継続的な支援という点では、同センターは2024年3月に過年度の女性リーダー育成講座修了生12人を対象とするフォローアップ講座も開催している。内容は女性の政治参画、近況発表、個別の助言、修了生同士の意見交換だった。入口の育成対象を誰にするかは、その後の交流や助言の機会にも関わる。[68]

この事例での論点は、ジェンダーの議論への参加を、会場に入れるかという一段階だけで測らないことである。公開講演の聴講、少人数の意見交換、継続指導、修了生ネットワークは、それぞれ異なる参加機会である。女性リーダー育成という事業目的は明示されているが、ジェンダー問題の改善に取り組みたい男性にも同等の活動支援経路があるかは、別途検証する価値がある。同センターの全事業が女性専用、あるいは男性向け事業が一切存在しないとする根拠にはならない。

政策を議論する人材の候補名簿――女性人材バンクへの男性の登録不可

審議会の会議当日に参加を拒むのではなく、候補者を探す段階の名簿に載れるかという違いもある。自治体の女性人材バンクは、女性の政策決定への参画を増やすため、委員等の候補情報を登録する仕組みである。以下の3市は、登録対象を女性と明記している。[69][70][71]

自治体・制度 主な登録条件 登録情報の用途
古河市「女性人材バンク」 市内在住・在勤・在学の18歳以上の女性。市政への関心と委員としての活動意欲、または専門知識・活動実績・資格を持つこと等 市の審議会等の委員選出。女性委員を選任する担当課が台帳を利用
坂東市「女性人材バンク」 市内在住・在勤の18歳以上の女性(高校生を除く)。活動意欲または知識・実績・資格があり、市税等の滞納がないこと等 政策・方針決定への参画を促す委員候補の登録。登録分野には男女共同参画、防災、福祉、都市計画等が含まれる
伊勢崎市「女性人材データバンク」 市内在住・勤務・在学または市内団体所属の女性で、各分野での活動または専門的知識・技能があること 審議会等の委員だけでなく、市が関わる講演会の講師、シンポジウムのパネリストの人選

出典:[69][70][71]。要件を要約した表であり、職員・議員の除外等の細目は各募集案内による。

男性は、同じ地域で活動し、同じ専門知識を持っていても、これらの女性専用名簿には登録できない。特に伊勢崎市では講師・パネリスト選びにも利用するため、行政の議論の場で「誰を専門家・発言者として見つけるか」に関わる仕組みでもある。ただし、3市とも登録が委員への登用を保証するものではないと説明しており、名簿に入れることと実際の選任は別である。[69][70][71]

また、これらの名簿が人選の唯一の経路であるとは確認できない。古河市は、2025年の男女共同参画推進会議委員の公募では、市内在住18歳以上、活動意欲、会議への出席等を要件とし、女性に限定していない。したがって同市については、男女共同参画を審議する委員そのものを男性に禁止した事例ではなく、女性には追加の登録・発掘経路が用意され、男性はその経路を使えない事例として整理するのが適切である。[72]

参加機会を検討する際には、会議の出席者比率だけでなく、人材発掘、候補者名簿、推薦、登壇依頼まで遡って、議論を担う人々がどう選ばれるかを検討できる。女性登用の促進という目的を認めたうえでも、男性の生活上の困難に詳しい当事者・研究者を発掘する経路や、性別を問わない新規参入経路を併設するかは、政策上の別の課題となる。

男性だけの討論会に求められる辞退・交代――パネル構成の是正基準

国連グローバル・コンパクトは2016年3月15日、第60回国連女性の地位委員会に合わせた行事で「UN Global Compact Panel Pledge」を発表した。ニューヨーク本部の職員に男性だけで構成されるパネルの開催・参加をしない誓約を呼びかけ、男性職員がそのようなパネルへ招かれた場合の対応として、女性同僚への交代を求めること、出席する場合は女性登壇者の重要性を訴えること、登壇を辞退することを挙げた。国際的なネットワークや企業にも同様の誓約を促している。[73]

UN Womenも2016年7月の声明でこれを紹介した。同声明は、障害者権利委員会の新しい構成で女性委員が1人にとどまることを問題とし、女性の参加がないパネルや委員会を構成しないよう求めた。その背景には、障害のある女性の経験が十分に代表されなくなるという懸念がある。[74]

ここで確認できるのは、女性の登壇を確保するために、男性の側が登壇機会を譲る、または辞退する対応を具体的に求められるという方針である。2016年の公表文では、女性だけで構成されたパネルに対し、男性同僚への交代や女性の辞退を求める対称的な手順は記されていない。[73][74]

ただし、この方針は男性全員の登壇禁止ではなく、女性が参加する構成への変更を促すものだ。発表では男女双方の視点を聞けるようにする目的も述べられている。また、参加した場合に女性登壇の重要性を訴えるという選択肢もあるため、あらゆる場面で辞退を強制した規則とまでは書けない。ここで扱うのは2016年に公表された取組であり、2026年現在の全職員・全行事の運用を確認したものではない。[73]

「ジェンダーの議論の場」という観点からは、誰が話すかだけでなく、誰の不在を改善すべき欠落と認定するかという基準の問題となる。女性不在の討論会を問題とする原則と、男性不在の討論会で男性の経験が十分に議題化されるかという問いは両立する。女性登壇者の増加を目的とする個別の取組を、性別を問わず偏りを測る一般的な基準と同一視しないことが重要である。

出典

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  6. : 三井ショッピングパーク「ガールズミニョン | ラブラ万代」。2026年9月17日閲覧。
  7. : namco池袋店「Xユーザーのnamco池袋店さん: 「【プリクラコーナーの入場制限についてのご案内】 3月19日(土)より当店のプリクラコーナーは原則女性のみ入場可能となります。 (女性の方が同伴される男性は入場可能です) 男性のみのお客様のご入場はご遠慮いただいております。 お客様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程お願いいたします。 https://t.co/YNZ3uBK201」 / X」。2022年3月15日投稿(ブラウザ表示)、2026年9月17日閲覧。添付画像も確認。
  8. : namco池袋店「Xユーザーのnamco池袋店さん: 「※アコスタは終日入場制限はございません。 男性のみでもご利用いただけます。 ※次回の7m!n×namco池袋店コラボイベント(2022/3/28~2022/4/3)も入場制限はございません。 男性のみでもご利用いただけます。 ですが、ノベルティ配布終了次第女性のみの入場制限となりますので予めご了承ください。」 / X」。2022年3月16日投稿(ブラウザ表示)、2026年9月17日閲覧。
  9. : namco池袋店「Xユーザーのnamco池袋店さん: 「また、終日男性のみでもご利用いただけるプリクラも数台ご用意しております。 お客様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解ご協力の程お願いいたします。」 / X」。2022年3月16日投稿(ブラウザ表示)、2026年9月17日閲覧。
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