父子家庭の養育費
父子家庭の養育費は、父親が子どもを養育する家庭において、子どもと離れて暮らす親から受け取る養育費である。厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」では、養育費を現在も受け取っている割合が父子世帯で8.7%、母子世帯で28.1%となっており、父親が養育者である場合の受給率の低さが確認されている。取り決めのある世帯に限っても、父子世帯25.9%、母子世帯57.7%という差がある。[1][2]
こども家庭庁は、養育費を子どもを育てるために必要なお金と説明し、子どもと離れて暮らす親にも、子どもが自分と同じ水準の生活を送れるようにする義務があるとしている。父子家庭の養育費は、男性を支払う側だけでなく、子どもを育てながら受け取る側として捉える問題でもある。[3]
調査で確認された受給状況[編集 | ソースを編集]
調査時点は2021年11月1日であり、結果は2022年12月26日に公表された。調査全体の集計対象は母子世帯2,653世帯、父子世帯866世帯などで、公表割合は推計値である。以下は同調査の離婚・未婚別に示された養育費の集計に基づく。死別世帯も含む父子家庭全体の受給率を示すものではない。[1]
| 項目 | 父子世帯 | 母子世帯 |
|---|---|---|
| 取り決めをしている | 28.3% | 46.7% |
| 現在も受け取っている | 8.7% | 28.1% |
| 受けたことがない | 85.9% | 56.9% |
| 取り決めのある世帯のうち、現在も受け取っている | 25.9% | 57.7% |
出典は調査結果報告の表17-(2)-1・3、表17-(3)-1・3・7・8である。取り決めの有無にかかわらない受給率と、取り決めのある世帯に限定した受給率では分母が異なる。離婚世帯だけに限定しても、現在受け取っている割合は父子世帯8.9%、母子世帯30.8%となっている。[1]
父子世帯では、取り決めのある場合にも現在受給している割合が約4分の1にとどまる。ただし、全体の受給率8.7%の分母には、取り決めのない世帯や、本人が請求しない判断をした世帯なども含まれる。取り決めの有無にかかわらず、受給状況の割合だけをそのまま相手の支払い拒否率や、裁判所の命令に対する不履行率とみなすことはできない。[1]
取り決めをしない理由[編集 | ソースを編集]
父子世帯で養育費の取り決めをしていない人が挙げた最も大きな理由は、次のとおりである。複数回答の割合とは区別する必要がある。[1]
| 理由 | 父子世帯 | 母子世帯 |
|---|---|---|
| 自分の収入等で経済的に問題がない | 22.3% | 3.5% |
| 相手と関わりたくない | 19.8% | 34.5% |
| 相手に支払う能力がないと思った | 17.8% | 14.7% |
| 相手に支払う意思がないと思った | 13.3% | 15.3% |
| 子どもを引きとった方が、養育費を負担するものと思っていた | 6.4% | 0.8% |
出典は表17-(2)-11-3・4であり、分母は養育費の取り決めをしていない各世帯である。最後の項目を複数回答で選んだ割合は、父子世帯11.8%、母子世帯1.8%であった。子どもを引き取った親が単独で負担するものと考えて、取り決めをしない父親がいることも調査に表れている。[1]
これらは回答者の認識や判断であり、相手の実際の所得や支払い意思を直接測定した結果ではない。同調査で把握された2020年の父自身の平均年間収入は518万円、母自身は272万円であり、経済状況にも違いがある。受給率の差だけから、男女への差別的な扱いが原因だと確定することはできない。一方、父子世帯の低い受給率を、すべての父親に養育費が不要であることの根拠とすることもできない。[1]
相談と支援の課題[編集 | ソースを編集]
養育費について相談した割合は、父子世帯34.2%、母子世帯50.2%であり、相談への接続にも差がある。これは相談した経験の比較であり、父親が相談を拒まれた割合を示すものではない。[1]
こども家庭庁は、養育費の金額、支払期間、支払方法を決めて書面に残すことを案内している。また、法テラス、養育費等相談支援センター、裁判手続き等の情報を掲載し、公正証書等の取得や保証契約、弁護士等による個別相談への支援を行う自治体もあると説明している。[3]
2026年4月の同庁資料にも父子世帯8.7%、母子世帯28.1%という2021年調査の数値が掲載されている。一方、同資料18頁の施策図で養育費受領率の低さを説明する項目は、母子世帯の3割弱という数値を掲げている。父子世帯の数値は資料中に存在するが、この説明項目では併記されていない。父親を養育費の受け手としても把握することは、ひとり親家庭全体への支援を考える際の論点となる。[2]
X上の反応[編集 | ソースを編集]
2026年8月24日、Xユーザーの「くろねこ@毎月35万積立×社畜」(@kuroneko1o31)は、母子世帯で約3割、父子世帯で約1割という養育費受給率を取り上げ、子どもの生活への影響を問題視し、行政による回収の仕組みの強化を求めた。これは一般利用者による意見であり、提案された仕組みの実現可能性や、受給率の差の原因が検証されたことを示すものではない。[4]
出典[編集 | ソースを編集]
- : 厚生労働省、令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します(2022年12月26日。『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要』及び『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告』を収録。報告本文1・51~63頁等、2026年10月5日閲覧)。
- : こども家庭庁支援局家庭福祉課、ひとり親家庭等の支援について(2026年4月、4・6・18頁、2026年10月5日閲覧)。
- : こども家庭庁、養育費・親子交流の相談を受けようとするひとり親の方へ|こども家庭庁(2026年10月5日閲覧)。
- : くろねこ@毎月35万積立×社畜(@kuroneko1o31)、Xユーザーのくろねこ@毎月35万積立×社畜さん: 「ヤバい話しなんだけど、 養育費の受給率が母子世帯で3割、父子世帯で1割って子供が可哀想すぎるだろ。支払い拒否する親はヤバいし怒りを覚えるけど、」 / X(2026年8月24日、2026年10月5日閲覧)。